【ダーマペン導入液】成長因子(グロースファクター)や幹細胞を徹底解説

こんにちは、美容皮膚科スマートスキンクリニックの医師です。

最近、化粧水や美容液、または美容施術の製剤などに「成長因子(グロースファクター)」や「幹細胞(幹細胞培養液)」という言葉をよく目にするようになりました。
例えば、ダーマペンで用いられる「ベネブ」「ベビースキン」「アムニオジェニックス」「プレミアムセル」「リジュラン」・・・ といった製剤などです。


あなたはこの「成長因子」や「幹細胞」などがどのようなものかご存知ですか?

今回は、美容皮膚科医の視点から皆さんのこのような疑問にお答えしていきます。
成長因子(グロースファクター)、幹細胞(幹細胞培養液)に興味がある方、違いが知りたいと思っていた方は、是非参考にして下さい。

目次

ダーマペンで使われる製剤|機能性成分と細胞由来成分

美容製剤を構成する成分には、機能性成分と細胞由来成分の2種類があります。

  • いわゆる美容成分と言われる→機能性成分
  • 成長因子(グロースファクター)や、幹細胞培養液などが代表的な→細胞由来成分

機能性成分は美容成分と言い換えることができるかもしれませんが、今回の記事の中では機能性成分という言葉で統一したいと思います。

機能性成分と細胞由来成分の違いは?

機能性成分は、期待する効果に対して必要な成分を補い、補助的な効果を提供するものと言うことができます。
具体的な成分で言うと、ヒアルロン酸やビタミンC誘導体などですね。
機能性成分は、即効性があると考えられますが、持続期間が短いことが多く、継続的な使用が必要です。

一方で、細胞由来成分は、肌を作る細胞そのものを増やしたり、成長させたりする成分と言うことができます。細胞レベルでの再生や修復を直接的に促進し、持続的な効果が期待できるからです。
効果を感じられるまでには、少し時間を要しますが、持続的な効果が期待できるという特徴があります。

機能性成分とは|ビタミン、アミノ酸、ヒアルロン酸など

先ほど、「機能性成分は、期待する効果に対して必要な成分を補い、補助的な効果を提供するもの」「保湿成分、抗酸化成分、美白成分などで分類することができる」と説明しました。

代表的な成分を、以下の表にまとめてみました。

期待する効果成分
保湿・ヒアルロン酸 ・グリセリン ・セラミド ・尿素など
美白・ビタミンC誘導体 ・アルブチン ・トラネキサム酸 ・コウジ酸など
抗酸化・ビタミンE(トコフェノール) ・レチノール(ビタミンA) ・CoQ10(コエンザイムQ10) ・フェルラ酸など
抗炎症・アラントイン ・カモミールエキス ・ビサボロール ・アゼライン酸など
アンチエイジング・ペプチドなど
角質ケア・AHA(フルーツ酸 ・BHA(サリチル酸) ・PHA(ポリヒドロキシ酸)など
毛穴ケア・ナイアシンアミド(ビタミンB3) ・茶エキスなど
代表的な機能成分の効果一覧

今回の表では、1成分=1効果で便宜上分けました。

しかし、多くの機能性成分は、単一の効果にとどまらず、複数の美容効果を発揮します。

各成分を調べると、もっと詳しく知ることができるでしょう。

今回の記事は、細胞由来成分の解説がメインになりますので、機能性成分の解説は簡単ではありますがこれくらいに留めておきますね。

細胞由来成分とは|成長因子(グロースファクター)、幹細胞(幹細胞培養液)、エクソソームなど  

細胞由来成分の特徴は「細胞の再生と修復」で、肌を構成する細胞そのものに直接的にアプローチできる成分です。
つまり、肌を構成する細胞の再生と修復を促進し、健康的で若々しい肌を維持するための多機能成分を提供します。

具体的には、成長因子(グロースファクター)、幹細胞(幹細胞培養液)、エクソソームといったものがあります。

これらは更に細かく分類できるので、それぞれを解説していきますね。

 成長因子(グロースファクター:GF)とは

成長因子とは、さまざまな細胞から分泌されるタンパク質です。美容領域では、特に EGF・FGF・PDGF・IGF-1・TGF-βなどの成長因子が重要な役割を持っています。

これら成長因子の効果や作用は特定の組織や細胞に限局されず、複数の異なる細胞に対して、成長促進、分化誘導、修復促進などの多様な効果を発揮します。
成長因子は各成長因子が多彩な作用を発揮する一方で、複数の成長因子が同じ作用を重複して持っています。
※分化とは、幹細胞から別の細胞が生まれる(異なる細胞に変化する)ことを意味しています。例)繊維芽細胞→エラスチン・コラーゲン・ヒアルロン酸
※幹細胞は分化で異なる細胞に変化しますが、自分自身を複製する能力もあります。

皮膚の断面図と、成長因子の概要を比較表にしました。イメージしながら解説を読んでみて下さい。

皮膚の断面図
成長因子の作用の概要
EGFFGFPDGFIGF-1TGF-βPRP
細胞増殖と分化の促進
コラーゲン生成の促進
創傷治癒の促進
血管新生の促進
毛髪の成長促進
筋肉強化
特徴肌のターン
オーバー促進
深いシワや
ほうれい線に
効果的
ECMリモデリング効果筋肉や骨の
成長促進
抗炎症作用特に強力なコラーゲン生成促進効果

評価の説明

  • ◎:非常に強力な効果を持つ
  • ◯:強力な効果を持つ
  • △:効果があるが、限定的または他の成長因子ほど強力ではない
  • ―:効果がない、または非常に限局的

EGF(上皮成長因子)

EGFは上皮層全体に作用し、上皮層にある細胞の成長・分化・修復を促進することで、肌表面の改善に大きく寄与します。

期待される効果
  • 上皮層の細胞の新新陳代謝が活性化し、ターンオーバーが促されます。シミやくすみが改善され、明るく、透明感が増した滑らかな質感になります。
  • 血管新生作用があり、創傷治癒を促進されることで、傷跡や炎症後の色素沈着が軽減されます。
  • 細胞が増殖することで細胞同士が密になるので、皮膚のバリア機能や水分の蒸発を防ぐ機能が強化されます。乾燥が減少し、しっとりとした肌が維持されます。
  • 皮膚の厚みが増すことと、保湿効果が合わさって、ちりめん小じわなどが目立ちにくくなります。

FGF(線維芽細胞成長因子)

FGFは主に線維芽細胞に作用し、真皮層全体に影響が及びます。

線維芽細胞とは真皮層の各細胞を生み出す幹細胞です。FGFによって線維芽細胞の成長や分化が促進されると、エラスチン・コラーゲン・ヒアルロン酸などを新たに増生していきます。
また、すでにあるエラスチンやコラーゲンの生成や修復を促進することで、肌の弾力とハリを回復させ、シワやたるみの改善に効果を発揮します。

期待される効果
  • コラーゲンやエラスチンの生成を促進され、肌の弾力性とハリが向上します。
  • 肌がふっくらとして弾力が増し、しわやたるみが目立たなくなります。特に深いしわやほうれい線などが改善される傾向があります
  • 真皮層の細胞間を埋めるヒアルロン酸が満たされることで、潤いのあるふっくらとした滑らかな肌に導きます
  • 血管新生によって栄養や酸素が十分に供給されると、肌の土台となる真皮層が満たされ、肌全体が健康的で若々しい印象へ変化します

PDGF(血小板由来成長因子)

PDGFは線維芽細胞や平滑筋の細胞、マクロファージなど広範囲に作用し、総合的な肌の修復と再生をサポートします。特に創傷治癒効果(組織修復と再生) においては優れています。

期待される効果
  • 特に線維芽細胞の活性化とコラーゲン生成を強力に促進されるので、肌の弾力がアップし、たるみやシワの軽減につながります。
  • 血管新生が促されるので、ターンオーバーが進み肌の質感が明るく滑らかになります。
  • 肌の表面が滑らかになり、肌の弾力性とハリの向上から、全体的な若返り効果がもたらされます

IGF-1(インスリン様成長因子-1)

IGF-1は、筋細胞、骨細胞、線維芽細胞、脂肪細胞など多くの細胞に作用すると言われています。

細胞増殖と分化、コラーゲン生成、創傷治癒の作用もありますが、他の成長因子と比較すると、筋細胞や骨細胞に対して特に強力な効果を持ちます。

期待される効果
  • 毛髪の成長促進による、薄毛や脱毛の改善、毛髪の密度と太さが増加します。
  • 顔の深層にある筋膜層にも影響を与え、顔のリフトアップ効果が期待できます。
  • 顔面骨の密度改善や萎縮の抑制が期待できる可能性があります 。

TGF‐β(トランスフォーミング成長因子-β)

TGF-βは非常に多様な細胞に作用しますが、その分、各細胞への効果は他の成長因子ほど顕著ではないかもしれません。他の成長因子を補助する役割と考えると良いでしょう。

TGF-βは他の成長因子とは異なる特有の作用を持っています。それは、アポトーシス(細胞の自然死)、免疫応答の調節に関与する作用です。
アポトーシスとは、老化細胞や紫外線などで損傷を受けた細胞が除去されるように働きかけることです。これらの細胞は、炎症性因子を分泌することがあり、周囲の組織の老化や炎症が促進されるからです。

また、免疫応答調整作用では、炎症を抑制するように働きます。

期待される効果
  • 炎症の抑制により、赤みや腫れが軽減され、肌のトーンと質感が改善されます。

PRP(多血小板血漿)

PRPとは、「Platelet Rich Plasma」の頭文字を取ったもので、直訳すると、「血小板の豊富な血漿」となります。
つまり、厳密に言うと、PRPそのものは成長因子ではなく、血小板から放出される多くの成長因子が含まれた血漿と言えます。

【PRPに含まれている主な成長因子:EGF、FGF、PDGF、TGF-β、IGF-1、VEGF 】

最近ではPRP療法と言って、事前に採取していた自分自身の血液を遠心分離にかけ、再び自分の体に注入する施術が再生医療の点からも注目されています。

また、PRP+FGFを組み合わせた施術が注目されています。
このPRP+FGFの組み合わせは、特に強力なコラーゲン生成促進効果で肌のハリと弾力を改善させ、しわ、たるみ、肌のくすみ、傷跡、毛穴の改善など、多様な皮膚の悩みにアプローチできると考えられています。

幹細胞(幹細胞培養液) とは

幹細胞とは、自己複製能力を持ち、様々な細胞に分化する能力を持つ細胞です。幹細胞培養液は、幹細胞を培養した際に分泌される成分を含む液体で、成長因子、サイトカイン、エクソソーム、アミノ酸など、幹細胞以外の物質が含まれています。

幹細胞について、もう少し解りやすく説明しますね。

私達の体は1つの受精卵からはじまり、細胞分裂をくり返しながら役割の異なる組織に変化していきます。血液や皮膚など、大まかなグループに分かれる時に、そのグループの親になるような細胞が「幹細胞」です。
例えば、間葉系幹細胞は、皮膚、筋肉、脂肪、骨などの細胞に分化します。
それからさらに進むと、間葉系幹細胞→線維芽細胞→コラーゲンといった感じに分化していきます。

美容医療領域でよく使用される幹細胞には、

  • 間葉系幹細胞
  • 羊水幹細胞
  • 脂肪幹細胞
  • 骨髄幹細胞
  • 臍帯血幹細胞

などがあります。

幹細胞は、採取される部位によって効果や特徴に異なる部分があります。

しかし、幹細胞は共通して高い再生能力、多能性、高い増殖能力をもっているので、主に肌の若返り、創傷治癒、組織修復、抗炎症作用を目的として使用されます。

エクソソームとは

エクソソームとは、簡単に言うと、細胞同士のシグナル(情報伝達物質)です。
小さな袋状の構造をしていて、その袋の中に成長因子、抗炎症因子、RNA、タンパク質などの成分を持っています。

エクソソーム自体は何かしらの細胞に増殖分化するわけではなく、シグナルを送る(=受け取る細胞が袋の中に持っている成分を取り込む)ことで相手の細胞に影響を与えるというものです。

エクソソームの期待できる効果

また、エクソソームは採取される部位(由来)によってもいくつかの種類に分類できます。

由来する幹細胞によって、出来上がったエクソソームの効果の現れ方に特徴があると言われています。

  • 間葉系幹細胞由来:抗炎症作用、肌の若返り、創傷治癒。
  • 脂肪幹細胞由来:肌の引き締め、シワの改善、保湿効果。
  • 臍帯血由来:総合的な若返り、抗炎症、シミ・くすみの改善。
  • 神経幹細胞由来:神経保護、ストレスケア、全身の若返り。
  • 歯髄幹細胞由来:肌のターンオーバー促進、若返り効果。 
  • 羊水幹細胞由来:高い再生能力、総合的な若返り。

エクソソームが点滴によって全身に作用させることができるという点は、他の製剤にはない特徴とも言えます。

ダーマペンと組み合わせることで得られる効果は?

ダーマペンでは、有効成分を作用する層に届けることができるため、より効率よく細胞に働きかけることができます。

美容医療の施術には様々なアプローチ法があり、患者さんの悩みに応じて適切な施術が選択されます。
ダーマペンを含めて、一般的な施術の特徴を表にまとめました。施術方法で悩んだ際は参考にして下さい。

ダーマペン水光注射医師による
手打ち
点滴
作用範囲上皮層
真皮層
皮下組織の上部
上皮層
真皮層の中部
真皮層
皮下組織の中部
全身
薬液の取り込まれ方受動的能動的能動的能動的
コスト★★★★★★★★★★
or
★★
その他ダウンタイムあり短期間だが
ダウンタイムあり
施術者の熟練度が必要コストが高い
一般的な施術の特徴

★の数は相対的な優劣を表しています(多いほど良い、負担が少ないことを示しています)

製剤選びに迷ったら

ここまで、細胞由来成分の概要を解説しました。専門的な内容でしたので難しいと感じた方もいるかも知れません。

また、
「結局どの製剤を選べばいいの?」 という疑問を持たれるかもしれません。

結論は、「ご自身のお悩みに優先順位をつけてもらい、そこに作用する成分が入っている製剤を、適切なアプローチ法の施術で受ける」ということになります。

最初に例に上げた製剤には、以下のような成分が含まれています。

ベネブ・成長因子(EGF、FGFなど) ・ペプチド ・各種ビタミン ・ヒアルロン酸 ・間葉系幹細胞由来培養液
ベビースキン・臍帯血幹細胞培養液 ・成長因子(IGF-1、IGF-2、IGFBP、MCP-1、IL-8、M-CSFなど) ・ヒアルロン酸
アムニオジェニックス・羊膜由来成分 ・成長因子(TGF-βなど) ・サイトカイン ・タンパク質 ・コラーゲン
プレミアムセル・幹細胞由来成分 ・ヒアルロン酸 ・成長因子(EGF、bFGF、TGF-βなど)
リジュラン・サーモンDNA由来のポリヌクレオチド ・成長因子(EGFなど) ・ヒアルロン酸
細胞由来製剤の主要成分

※アムニオジェニックスの施術を受けると、献血や臓器提供ができなくなります

成長因子や幹細胞などの細胞由来製剤は、自身の細胞を再生・修復し、美容医療においてとても魅力的な成分ではありますが、その効果の現れ方や感じ方には個人差があります。
ですので、その点を十分理解してもらった上で、上記の情報や知識をもとに、気になる製剤を試しながら自分に合った製剤を見つけてください。

自分でそこまで判断できないという方は、スマートスキンクリニックでお気軽にご相談ください。専門医があなたのお話を聞きながら、製剤や施術についてカウンセリングできます。


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