口元のたるみ|原因と治療、セルフケア方法を医師が解説

「口元のたるみを解消したい」
「口元のたるみのせいで年齢よりも老けて見えたり、不機嫌に見られたりしがち」
「口元のたるみの原因や効果的な治療法を知りたい」

口元のたるみについて、このようなお悩みはありませんか?

こんにちは。美容皮膚科・スマートスキンクリニックの医師です。

口元がたるむと、ほうれい線、マリオネットライン、ブルドッグ顔、口元やフェイスラインのもたつき、口元のシワなどにつながります。

今回は、口元のたるみについて、原因や治療法、セルフケアについて専門家の立場から丁寧に解説します。

口元のたるみの治療法やセルフケアについてだけ知りたい場合は、目次からとぶことができます。

目次

口元のたるみの原因とは?

口元のたるみの原因は、皮膚・筋肉・脂肪・靱帯・血液やリンパの流れなどの「体の内側の変化」をはじめ、紫外線やストレスなどの「外部環境」、喫煙や姿勢などの「生活習慣」などが挙げられます。

【口元のたるみの原因】

  • 表情筋の衰え
  • 皮膚のハリ・弾力不足
  • むくみ
  • 脂肪増加・膨らみ
  • 靱帯のこわばり
  • 紫外線
  • 乾燥
  • 悪い姿勢
  • 喫煙習慣
  • ストレス

表情筋の衰え

口元の筋肉には口角を上げる、食べ物を噛む、口を開けたり閉じたりするなどさまざまな働きがあります。

口角を上げる筋肉が衰えたり、口角を下げる筋肉とのバランスが崩れたりすることで、口元のたるみにつながります。また、口元だけでなく、口元につながる周囲の筋肉が硬くなったり引っ張られたりすることでも、たるみにつながります。

マスク生活で口元のたるみが気になる人が増えた背景には、無表情でいることで表情筋を使う機会が減り、表情筋が衰えてしまったことが一因と考えられます。

口元のたるみに関連する筋肉とその働き
  • 口輪筋
    口の周りを囲む筋肉で閉じたりすぼめたりするときに使う。衰えると口角が下がり口元がたるむ
  • 上唇挙筋
    上唇を挙げる筋肉。衰えると上唇が下がり、口元のたるみにつながる
  • 大頬骨筋
    頬骨から口角に向かって走り、笑顔を作るときに口角を挙げる筋肉。衰えると頬のたるみから口元、マリオネットラインのたるみに影響する
  • 小頬骨筋
    大頬骨筋の上にあり、上唇を引き上げる筋肉。衰えると、上唇や口角が下がり、口元のたるみにつながる
  • 笑筋
    頬の外側にあり、口角を外側に引っぱる筋肉。衰えると口角が下がり、たるむ
  • 口角下制筋
    下唇の両端から下顎にかけて広がり、口角を下に引っ張る筋肉。歯ぎしりより凝り固まると、口角が下がり口元のたるみが目立つようになる
  • 胸鎖乳突筋
    首筋にあり、頭を回す、曲げるといった動きに用いられる筋肉。周囲には鎖骨や耳下などのリンパ節があるため、凝り固まることで血行やリンパの流れが悪くなり、首や口元のたるみにつながる

皮膚のハリ・弾力不足

皮膚の中にあるコラーゲンやエラスチンが減少すると、ハリや弾力が失われ、皮膚は垂れ下がり、たるみにつながります。

皮膚のハリや弾力不足の主な原因は加齢のため、100%避けることは困難です。

むくみ

血液やリンパ液の流れの滞りによる「むくみ」がおこると、たるみを助長します。

血液は皮膚に必要な酸素や血液を届け、リンパ液は細胞から出る老廃物の排出を助けます。血液やリンパ液の流れが滞ることで、むくむだけでなく皮膚が衰えハリや弾力を失い、たるみにつながります。

脂肪増加・膨らみ

口元に近い脂肪がたるみの原因になることもあります。

成人後の脂肪細胞の数は基本的に変わりませんが、太ると脂肪細胞の体積が増えてしまいます。脂肪体積が増え、頬の皮膚が脂肪を支えきれなくなると、下垂し、口元にたるみが生じることに。

「バッカルファット」は頬に丸みを与える脂肪の塊、「ジョールファット」は頬の下部から顎のラインに位置する脂肪の塊です。加齢や重力によって下垂すると、ほうれい線やマリオネットラインが強調されたり、口元のたるみやフェイスラインのゆるみにつながったりします。

靱帯のこわばり

靱帯は筋肉・脂肪・皮膚を骨に固定している組織です。

靱帯でよく知られているのは「アキレス腱」でしょう。靱帯は本来柔軟性を保っていますが、使わないでいると硬くなって動きが制限されます。急に伸ばした結果、断裂して歩けなくなった人を見たことがあるでしょう。

顔も、靱帯がこわばると動きが制限され、皮膚や脂肪などの組織を支えきれず、口元のたるみにつながります。

紫外線

太陽から降り注ぐ紫外線の一部は、肌の奥まで届いてコラーゲンやエラスチンを破壊することがわかっています。また、室内にいても窓ガラスを通過することから、知らないうちに紫外線を浴びていることがあります。

紫外線によって弾力が失われると、肌はたるみを生じます。

乾燥

乾燥により肌の水分量が低下すると、たるみにつながります。

肌の水分不足や空気の乾燥により肌から水分が奪われると、紫外線や感染など外部からのダメージを受けやすくなります。また、コラーゲンやエラスチンなどが弾力性を失いやすくなります。口元は他の部位に比べ乾燥しやすい部位です。

悪い姿勢

口元にとって悪い姿勢とは、どのような姿勢でしょうか?

パソコン、スマホ、猫背、長時間のデスクワークなどは、下を向いた状態のため、重力に従って口周りの組織が下がります。また、首回りを動かさないでいると、顎周辺の筋肉まで動きが減り、凝りかたまってしまいます。

喫煙習慣

喫煙は血流を妨げるため、皮膚に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなってしまいます。

また、喫煙によって多くのビタミンCが失われます。ビタミンCはコラーゲンの生成をサポートしているため、不足すると皮膚が弾力を失い、たるみにつながります。

ストレス

ストレスによって「コルチゾール」というホルモンが分泌され、コラーゲンが分解されやすくなり、たるみにつながります。

また、ストレスは血行を妨げ肌の代謝を低下させることでも、たるみにつながります。

ストレスを感じるとビタミンCが消費されますが、ビタミンCはコラーゲンの生成にも必要な成分のため、ビタミンCが不足して肌の弾力を維持しにくくなることもあるでしょう。

口元のたるみとほうれい線・マリオネットラインとの関係性

口元のたるみは、への字口やほうれい線、マリオネットライン、ブルドック顔、フェイスラインのゆるみなどの状態を引きおこします。

【口元のたるみの影響】

  • への字口
  • ほうれい線
  • マリオネットライン
  • ブルドック顔
  • フェイスラインのゆるみ

肌の土台となっている骨や筋肉が衰えると、顔の皮膚や脂肪が下に落ちます。さらに、皮膚の中でハリや弾力を保っていたコラーゲンやエラスチンが減少すると、ほうれい線やマリオネットラインが目立ち始めます。徐々に口元のたるみが強くなると、フェイスラインがゆるみ、さらには首までたるみを生じます。

口元のゆるみに気づくのは30代頃からですが、ほうれい線やマリオネットラインが目立ち始めるのは40代頃から。50代頃になると口元のたるみがはっきりとあらわれることでしょう。

マリオネットラインについて、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

※関連リンクURL(今回のマリオネットラインの記事)

口元のたるみを改善するためのセルフケア

口元のたるみがごく軽度であれば、セルフケアによって改善や予防につながることもあります。

表情筋トレーニング

  1. まずは骨盤を立て、肩甲骨を寄せた正しい姿勢を保ちましょう
    姿勢が崩れていると、口元につながる筋肉の働きがアンバランスになり口元のたるみにつながってしまいます。
  2. 鏡を見て口を動かしてみましょう
    口を大きく動かし、「あいうえお」の発声をします。口元が下がったままでも声は出るため、気づかないうちに口角を上げる筋肉を動かしていない可能性があります。
  3. 顔を上に向けて唇を突き出す動きもおすすめです
    表情筋トレーニングの方法は本や動画にも溢れているので、専門家の監修によるもの、続けやすいものに取り組むとよいでしょう。

頭皮マッサージ

頭皮を引き上げ、顔のたるみやほうれい線改善をはかるマッサージです。

顔は頭皮と1枚の皮膚でつながっています。顔の上半分を持ち上げることで、口元のたるみ改善にアプローチします。額やこめかみ付近をほぐします。

リンパケア

体の下水道と呼ばれるリンパの流れを整えることで、顔全体のたるみにアプローチする方法です。

肩甲骨まわりの筋肉やいわゆる首筋にあたる胸鎖乳突筋をほぐし、顔周りを優しくさすります。

美顔器

美顔器の中には「リフトケア」を目的としたものが多くあります。代表的なものとして、EMS・RF・超音波などを使ったものがあります。

  • EMS: 低周波の電流を用いて筋肉に刺激を与え、筋肉を収縮させる機能。表情筋トレーニングに用いられている
  • RF:高周波エネルギーを使用して、皮膚の深部を加熱する機能。肌の明るさやハリ感が期待される
  • 超音波:高周波の音波を皮膚に伝え、微細な振動を与える機能。皮膚や筋肉にはたらきかける

皮膚を強く擦るとたるみやくすみにつながるリスクがあり、口周りを鍛え過ぎるとエラ張りやゴリラ顔を引き起こすリスクがあります。取扱説明書に従って、適切な使い方をしましょう。

口元のたるみを解消する治療法

口元のたるみを解消するための治療法を一覧表にまとめました。

項目ジュベルックボリューム(レニスナ)注射ショッピングリフトゴウリ(GOURI)注射プロファイロ注射切開リフト(フェイスリフト)
治療の説明非架橋ヒアルロン酸とポリ乳酸を配合した製剤を注入主にPDO(ポリジオキサンオン)でできた極細の溶ける糸を挿入PCL(ポリカプロラクトン)を液状化した製剤を注入高分子と低分子のヒアルロン酸を配合した製剤を注入皮膚を切開し、余分な皮膚を除去する
効果コラーゲン生成促進・ハリやツヤの向上コラーゲンやエラスチンの生成促進・自然なリフトアップ・肌のハリやツヤの向上コラーゲン生成促進保湿・ハリや弾力性の改善・自然なボリューム増加口元のたるみを含む顔全体のリフトアップと若返り
効果の発現時期2~3週間後施術直後から徐々に数日後から徐々に数日から数週間後、ピークは1か月後施術直後  
効果の持続期間1~2年1年~1年半6ヶ月~1年6ヶ月~1年5~10年  
ダウンタイム24時間/痛み・赤み・腫れ・内出血数日/軽度の腫れ・赤み・内出血24時間/赤み・隆起・内出血24時間/膨れ・赤み・腫れ・内出血 2~3週間/腫れ、内出血、突っ張り感  

ジュベルックボリューム(レニスナ)注射

ジュベルックボリューム(レニスナ)は非架橋ヒアルロン酸とポリ乳酸(PDLLA)を組み合わせた注入薬剤です。

ジュベルックに比べ粒子が大きく、肌の深いところで働きボリュームアップが期待できます。コラーゲンやエラスチンの生成が促進され、マリオネットラインのような深いシワに効果的です。

ショッピングリフト

ショッピングリフトは、溶ける糸を皮膚に挿入する切らない治療です。
糸が吸収される過程でコラーゲンが生成され、長期的にたるみを改善します。

ゴウリ(GOURI)注射

ゴウリ注射は、PCL(ポリカプロラクトン)を含む液状化された注入製剤で、リフトアップやたるみ改善に効果的です。PCLは医療用糸として使われ、体内で徐々に分解されることでコラーゲン生成を長期間にわたって促進し、たるんだ部分を引き締めます。
特にマリオネットラインなどの改善に有効です。

プロファイロ注射

高分子と低分子のヒアルロン酸を高濃度に配合し、肌の深層に働きかけることで、弾力を取り戻し、たるみを引き締めます。

特に口元の皮膚をふっくらとさせることで、深いシワやたるみ、マリオネットラインなどの目立ちを軽減する効果が期待できます。

 切開リフト(フェイスリフト)

皮膚を外科的に切開し、たるみを引き上げる手術です。過剰な皮膚を除去し、皮膚と筋肉を引き締めることで、長期間にわたるたるみ改善が叶います。特に深刻なたるみに適しています。

口元のたるみ治療の効果を高めるため

口元のたるみ治療の効果を高めるために、食事・姿勢・生活習慣の見直しを行い、改善に取り組みましょう。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • 姿勢を整え顔の中心に軸を作る、猫背やうつむき姿勢を避ける、スマホを観るときの姿勢を意識する、鏡を見る
  • 噛み合わせが悪い場合は歯科治療を受ける
  • 笑顔を増やし表情筋を使い、筋力低下を防ぐ
  • 日焼け止め塗布や日傘などの紫外線対策
  • 季節や肌状態に応じた保湿対策
  • 口元の筋肉を使う、噛む回数を増やす、かたいものを噛む
  • たんぱく質やビタミンなど栄養バランスの取れた食事を心がけるリスト

口元のたるみをカモフラージュするメイク術

口元のたるみを少しでもマシに見せたいときは、口角が上がったように見せるメイクをするとよいでしょう。

  • 口角上向きのリップライン
  • リップライン外側のコンシーラー
  • 上気味のチーク・ハイライト

口紅を塗るときに、口角は少し上向きにリップラインを描いてください。また、リップラインの外側の影はコンシーラーで縁取り、たるみを目立たなくします。チークはいつもより上に塗り、チークよりも少し高い位置にハイライトを乗せると、顔の上部に目が行き、口元から目が逸れやすくなります。

メイクがもたらす効果は一時的ですが、心理的な効果も期待できます。ご自身の口元に少しでも自信を持つことができれば自然と口角も上がりやすくなり、口元のたるみ悪化予防につながることでしょう。

よくある質問

口元のたるみやほうれい線は解消されますか?

美容医療により改善が期待できます。治療効果を高めるには、セルフケアの継続も大切です。

無表情でいると怒っているように見られます。なぜでしょうか?

無表情でいると口元がたるみ、への字口やほうれい線、マリオネットラインが生じます。口元のたるみやゆるみは、不機嫌に見えてしまいます。

口元のたるみでお悩みならスマートスキンクリニックへ

口元のたるみは骨・筋肉・皮膚などさまざまな要因が重なって起こります。たるみを改善するには、まずはたるみの状態や主な原因を知ることが大切です。

症状に合ったケアを行うために、まずはお気軽に専門家にご相談ください。無理な勧誘はございません。

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