【医師が解説】ポテンツァの効果・仕組み・持続時間を徹底解説
本コラムの内容について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
- 「ポテンツァが話題になっているけれど、どのような効果があるのだろう?」
- 「クレーターや毛穴などいろいろな効果があるらしいが、本当だろうか?」
- 「ポテンツァの効果はいつから実感できるのか、いつまで持続するのか知りたい」
こんにちは、スマートスキンクリニックの医師です。
皆さんはポテンツァの治療について、このような疑問をお持ちではありませんか?
この記事では「ポテンツァの効果・仕組み・持続時間」について、医師が医学の専門的立場から、かつ分かりやすく解説します。
そもそもポテンツァとは
ポテンツァとは、マイクロニードル(極細針)とRF(高周波の一種であるラジオ波)を利用した、幅広い肌悩みに用いられている機器です。
極細針を皮下に刺し、先端からRFを照射することで、肌の奥にある真皮層に直接熱エネルギーを与えます。多彩なチップを付け替えることで、1台でさまざまな症状に対応することができます。
ダーマペンをご存じの方は、「ダーマペンにラジオ波をプラスした機械」と認識していただくと分かりやすいかもしれません。
【治療手順】
- クレンジング・洗顔で肌を清潔にする
- 必要に応じて麻酔クリームを塗布
- 顔全体に針を刺し、RFを照射
- 皮膚を冷却し鎮静
【ダウンタイム】
ほてり・痛み・赤み:1~2日程度
小さなかさぶた:5日程度
ポテンツァの仕組み
ポテンツァでさまざまな効果が得られるのは、ポテンツァが以下のような様々な仕組みを持つためです。
- 傷の修復を促す「マイクロニードル」治療
極細針(マイクロニードル)を皮膚に刺して多数の穴を開け、真皮層にある線維芽細胞を刺激することで、傷を自ら治そうとする「創傷治癒機構」が働きます。
※線維芽細胞は皮膚の弾力やハリ、厚みのもととなるコラーゲンやエラスチンを生む細胞です。
- 「RF」治療
極細針を皮下に刺した先端からRF(高周波の一種であるラジオ波)を照射し、肌奥にある真皮層に直接熱エネルギーを与えます。
加熱によってタンパク質の構造が変化し、生卵がゆで卵になるように肌を引き締める効果や、熱ダメージを自ら治すための創傷治癒機構が働きます。
ポテンツァの針には基本的に先端部以外には絶縁コーティングが施されている為、レーザー照射とは異なり皮膚表面への火傷のリスクを軽減し、皮膚の奥に集中的に届けることが可能です。
マイクロニードルだけの治療に比べダウンタイムが短いのは、RFによる熱で止血効果が期待できるためです。
- 「ドラッグデリバリー(薬剤導入)システム」
薬剤注入ができる専用のポンピングチップを用い、皮膚に刺した極細針を抜くと同時に、空気圧で薬液を真皮に均一に注入するシステムです。圧力により薬剤の戻りを抑えるため、塗布するだけよりも薬剤が皮膚奥まで届きやすくなります。
- 症状に応じた「多彩なチップ」
症状に合わせてチップを付け替えることで、1台でさまざまな肌悩みに対応することができます。針の長さや数、絶縁コーティング方法が異なるチップ、あるいは針のないRF治療専用のチップがあり、照射エネルギーの強さや深さ、照射範囲を変えることが可能です。
ポテンツァの効果
ポテンツァの効果は、症状に応じたチップや薬剤を選択することで実感しやすくなります。期待できる効果を、以下に紹介します。
- ニキビ:
ニキビの原因のひとつは、過剰な皮脂分泌です。単針を用いて、ニキビに直接RFを照射し皮脂腺を破壊することで根本治療が期待できます。
- ニキビ跡のクレーター:
極細針とRFにより創傷治癒機構が働き、細胞が活性化されコラーゲンを産生することで、ニキビ跡のクレーター改善効果が期待できます。
- シワやたるみ:
RFの熱刺激が皮膚の浅い層から深い層まで引き締めることから、しわやたるみへの改善効果が期待できます。針のないチップでRFを照射すると、痛みが少なく表面麻酔なしで施術でき、ダウンタイムがほとんどありません。
- 毛穴の開き:
毛穴が開く要因として、皮脂の過剰分泌やたるみが挙げられます。ポテンツァで皮脂分泌を抑制しコラーゲン産生を促すことで、毛穴の開きを改善する効果が期待できます。
- 赤ら顔:
赤ら顔とは、主に毛細血管拡張などにより新生血管が異常に増え、血管の色が透けて見えた状態です。ポテンツァでは、真皮層にある毛細血管にRFの熱を届けることで、血管の新生を抑える効果が期待できます。
- 肝斑:
原因は、紫外線やホルモンバランスの乱れによりメラニン色素を生む細胞(メラノサイト)が活性化されることと考えられています。ポテンツァはメラノサイトに直接RFを照射し、メラニンの産生を抑制します。
ポテンツァはいつから効果が出るか
ポテンツァの主な効果は、先述の「創傷治癒機構」によってもたらされます。こちらの創傷治癒機構は、基本的には数週間かけて徐々に効果を発現します。
ポテンツァは1回でも効果がありますが、繰り返すことで効果を感じやすくなります。コラーゲンやエラスチンの産生が促されると、肌にハリが生まれます。
効果を実感するまでの期間は、肝斑は2~4週間おき、その他の症状には4~6週間おきに施術をして、3回目以降が目安です。
ですので、効果として実感できるのは3~4ヵ月以降と考えておくと良いでしょう。
一方でポテンツァはラジオ波による熱作用により、肌の引き締め効果も持っています。こちらは、施術直後から効果を感じる場合も多いです。
ポテンツァの効果の持続期間
この効果の持続期間というのは、定義が難しいです。というのが、老化等により自然現象としてコラーゲン・エラスチン等の密度が低下していくからです。
ですがあえて言及するのであれば、3~4ヵ月後には「創傷治癒機構」によりコラーゲン・エラスチン等の増加が起こっているので、半年程度と言えるかもしれません。
実際に、以下の論文の中でマイクロニードルRF波(≒ポテンツァ)の施術により、4カ月後にコラーゲン・エラスチンの密度が増加したというデータがあります。
Immediate lysis of adipocytes in submental fat was observed, as well as an increase in the density and compaction of elastin and collagen fibers 4 months later.
Virginia Benítez-Roig, Mario A Trelles “Procedure and results on lower face and neck rejuvenation using a temperature-controlled bipolar fractional radiofrequency microneedling device. ” Lasers in surgery and medicine. 2022 07;54(5);639-647. doi: 10.1002/lsm.23517.
(和訳)4ヶ月後には、胸下脂肪の脂肪細胞の即時溶解と、エラスチンおよびコラーゲン繊維の密度と圧縮度の増加が観察された。
ポテンツァはこんなお悩みをお持ちの方にオススメ
ポテンツァは、以下のような肌悩みをお持ちの方におすすめです。他の治療で改善しなかった方も、一度ご相談ください。
- ニキビ
- ニキビ跡(クレーター)
- 毛穴の開き
- 肌のハリ
- 小じわ
- 赤ら顔
- くすみ
- 肝斑
- 目の下、口の周り、フェイスラインのたるみ
まとめ
ポテンツァの効果について、お分かりいただけましたでしょうか。
ポテンツァはマイクロニードルとRF、ドラッグデリバリーシステム、多彩なチップの使い分けにより、効率よく肌悩みに働きかけてくれる治療です。繰り返すことで効果が得やすくなりますが、症状や目的により効果のあらわれ方は異なります。
ご自身の症状に対してどれくらいで効果を得られるかは、医師の診断やカウンセリングをご活用ください。
参考
・Jeisys
・Byalekere Shivanna Chandrashekar, Rashmi Sriram, Rajdeep Mysore, Sapnashree Bhaskar, Abhishek Shetty . “Evaluation of microneedling fractional radiofrequency device for treatment of acne scars.”Journal of cutaneous and aesthetic surgery. 2014 Apr;7(2);93-7. doi:10.4103/0974-2077.138328.
・Soo Ick Cho, Bo Young Chung, Min Gyu Choi, Ji Hwoon Baek, Hee Jin Cho, Chun Wook Park, Cheol Heon Lee, Hye One Kim . “Evaluation of the clinical efficacy of fractional radiofrequency microneedle treatment in acne scars and large facial pores.”Dermatologic surgery : official publication for American Society for Dermatologic Surgery [et al.]. 2012 Jul;38(7 Pt 1);1017-24. doi: 10.1111/j.1524-4725.2012.02402.
・Procedure and results on lower face and neck rejuvenation using a temperature-controlled bipolar fractional radiofrequency microneedling device