美白内服セット
「『美白内服セット飲んでる』って話を聞くけど、肌に良いなら私も飲んでみたい。でも美白内服セットがそもそも何かよくわからない」
「最近シミが増えてきて気になってきた…」
「美白内服セットってよく聞くけど、本当に効くのか知りたい」
「色んな美白内服セットがあるけど、自分はどれを飲んだら良いんだろう…」
こんにちは、スマートスキンクリニックの医師です。
皆さんはこんな疑問をお持ちではないでしょうか?
皆さんのこのような疑問を、現役美容皮膚科医の視点から、医学的に分かりやすく解消していきます。
それでは早速解説を始めます。
そもそも美白内服セットとは
美白内服セットとは、端的に言えば、「肌の透明感を高める効果を持つ複数の薬からなるセット」のことです。
もう少し医学的に言えば、特定の薬理作用を持つお薬の内服によってシミ・くすみの予防または治療ができたり、エイジングケアになるのが美白内服セットになります。
各病院によってセットの内容は異なったり、様々なプランがあったりします。
ですが、基本的には、トラネキサム酸(トランサミン)、ビタミンC(シナール)、ビタミンE(ユベラ)、
L-システインといった薬で構成されていることが多いです。
赤ちゃんの肌は最強のプルプル美白肌です。
それが加齢やUV刺激の蓄積などにより、経年的に失われていきます。
加齢は遺伝子が関与しますので絶対に避けられない側面があります。一方でUV刺激に関しては、UVケアや保湿などの個人の努力で一定防ぐことができます。
また、このUV刺激に対して、抗酸化作用を持つ美白内服セットが役に立つわけですね。
なぜシミはできるの?
シミの原因物質はメラニンです。
ただ、メラニン自体は悪者でもなんでもありません。
UV刺激から肌の細胞を守るために、重要な役割を担っています。
医学の大事な考えの一つにホメオスタシス(恒常性)というものがあります。
簡単に言うと、「過不足なく調和がとれている状態が健全である」ということです。
メラニンの場合は、下記の3点の調和がとれていれば問題ありません。
① 産生量を増やす要因:UV刺激、肌への過度の刺激、炎症反応、ストレス
② 産生量を減らす要因:遮光(UVケア)、内服薬によるメラニン生成経路の阻害
③ ターンオーバー:皮膚の新陳代謝(加齢により減退)
例えば、子どもたちは暑い日差しの中、外でかけまわりケアなど一切してなくても中々シミなどはできません。
それは単純に③のターンオーバー機能が優れており、メラニンが過剰蓄積する前に代謝してしまうためです。
一方で、加齢とともにターンオーバー機能は減退していきます。
①の増悪要因を避け、②の抑制要因を強化するのが大切です。
①-③のバランスが崩れてしまうとシミができてしまうのです。
以下の図解を見てみてください。これは、ターンオーバーが落ちた場合に、シミが発生することを表しています。
図1. 紫外線刺激によるメラニン生成亢進とターンオーバの関係(第一三共より引用)
(URL:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_kanpan/mechanism/01.html)
医学的根拠のある美白内服セットのプランはこれ
毎日忙しい中、時間に追われている方もいると思います。
ですので、まずは結論から簡潔に申し上げます。
医学的にシミ・くすみに対する効果が証明されているのは以下の4種類です。
- トラネキサム酸
+
- ビタミンC
- ビタミンE
- L-システイン
内服治療の主軸としてトラネキサム酸があり、その効果を以下3種が補完するという理解でよろしいかと思います。
「その根拠は?」
そう思われた方。スマートです!
玉石混交溢れかえる情報社会において非常に大切な観点だと私も思います。
よく病棟内で主任・師長クラスの先輩看護師からこの強烈なWordで詰められている若手看護師や看護学生達を見ることがありました。
(実際は、エビデンスだけでなくエンピリック(経験則的)な視点も重要です。すべてにおいてエビデンスを求めていたら身動きがとれません。COVID-19やRNAワクチンの初期段階が典型かと思われます。)
エビデンスが確立している治療法があるなら、それを選択するのが賢明です。
それでは、根拠となる臨床研究試験は数多くありますが有名なものを以下に記します。
- 肝斑に対するDH4243(トラネキサム酸配合経口薬)の多施設共同オープン試験(URL)
- 結論:
ビタミンC・L-システイン・パントテン酸Caに加えて、トラネキサム酸を内服したほうが30%以上改善効果が高かった。 - 対象患者:肝斑をもつ231人
- 介入内容
- A: ビタミンC300㎎+L-システイン240㎎+パントテン酸Ca24㎎
- B: A+トラネキサム酸750mg
- 内服期間:8週間
- 結果(スキントーンカラースケールでの改善率)
- A: 26.5%
- B: 60.5%
- 備考:
- 写真判定・画像撮影装置・患者満足度等の他の評価基準すべてにおいてトラネキサム酸750㎎追加群(B群)のほうが優位に改善率が高かった。
- 写真判定・画像撮影装置・患者満足度等の他の評価基準すべてにおいてトラネキサム酸750㎎追加群(B群)のほうが優位に改善率が高かった。
- 結論:
- 引用元文献:https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902265991191475
私達で数多くの臨床試験等の論文を精査した結果が上記で言及したトラネキサム酸・ビタミンC・ビタミンE・Lシステインの4点セットになります。
美白内服セットに含まれる各薬とその特徴
次に、美白内服セットを構成する各薬の説明をしていきます。
内服セットには、シミの予防・治療だけでなく、ニキビやエイジングケアの効果を発揮するお薬も含まれています。
それらの構成は以下の通りです。
- トランサミン錠(トラネキサム酸)
- シナール錠(ビタミンC)
- ユベラ錠(ビタミンE)
- ハイチオール錠(L-システイン)
- グルタチオン錠(グルタチオン)
- ビタダン(ビタミンB2、B6)
上記のお薬が、シミが生成される経路のどこかを阻害することで作用を発揮します。
以下の図が参考になるかと思います。
また、肌全体の透明感を高める効果も発揮します。
図2. メラニン生成経路と各種薬剤の作用点(第一三共より引用)
(URL:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_transino/transino-2/component/kanpan/)
・トラネキサム酸
抗プラスミン作用(メラニンの産生を加速させるプラスミンという物質を抑える)により、メラニンの生成経路阻害と抗炎症効果を発揮します。(図.2 参照)
まれに認められるリスクとして、血栓形成があります。そのため、当院では、血栓症の既往がある方や、妊婦さん、ピルユーザー、女性ホルモン剤投与中の方には推奨していません。
・シナール錠(ビタミンCとパントテン酸の配合薬)
チロシナーゼ活性阻害とドーパキノンの還元作用によりメラニンの生成抑制と色素沈着改善効果を発揮する。
シミ治療の効果以外にも、抗酸化作用、コラーゲン生成促進作用を併せ持つ。
パントテン酸はビタミンCの働きを助け、余分な皮脂の分泌を抑制します。
水溶性ビタミンなため過剰投与しても大きな副作用は出にくいですが、尿中に排泄される量が増えるだけなので、適量を内服するのが合理的です。
・ユベラ錠(ビタミンE)
ビタミンCと同様に抗酸化作用を有します。ただし、ビタミンEは抗酸化作用を発揮すると酸化され効力を失っ
てしまいます(失活)。ビタミンCはこの失活したビタミンEの抗酸化力を復活(賦活化)させる効果を持ちます。(図.3参照)
ビタミンCと相乗効果を発揮することで、シミ・色素沈着のより高い改善率が認められます。
図3. ビタミンCとビタミンEの抗酸化作用の相乗効果(大正製薬より引用)
(URL:https://taisho-beauty.jp/TB/shop/pages/doctor025.aspx)
・ハイチオール錠(L-システイン)
ビタミンCと同じくチロシナーゼ活性阻害を有し、メラニンの産生量を抑えます。
また、ターンオーバーの正常化(肌の代謝)作用によりメラニンをスムーズに排出し、しみを薄くする効果があります。
・グルタチオン錠(グルタチオン)
シミの原因となるメラニンを減少させる効果に加え、抗酸化作用や肝機能改善作用を有する。そのため、エイジングケアとしても使用されることが多いです。
・ビタダン(ビタミンB2、B6)
ビタミンB2とB6の配合薬です。
ビタミンB2による皮脂分泌のコントロールや、ビタミンB6による新陳代謝の促進効果があります。そのため、ニキビ治療薬としても効果を発揮します。
おすすめセット3選
「色んなお薬があるのは分かったけど、結局私は何を飲むのがベストなの?」
そう悩まれるのも当然のことだと思います。
そんな悩みを少しでも減らせるように、スマートスキンクリニックでは患者様ごとの悩みや希望に合わせたプランをご用意しております。
主なプランとしては、以下の3つを提供しております。
現在はトラネキサム酸のみのご提供になっております。
ライトプラン | スタンダードプラン | プレミアムプラン | |
---|---|---|---|
対象 | ・お手頃に始めたい | ・肌の透明感を高めたい・肌質をよくしたい | ・シミの治療がしたい・ニキビやエイジングケア効果も求めたい |
トランサミン錠 | |||
シナール錠(ビタミンC) | |||
ユベラ錠(ビタミンE) | |||
ハイチオール錠 | |||
グルタチオン錠 | |||
ビタダン | |||
料金(税込み) | 30日分3,980円 | 4,500円 | 8,000円 |
まとめ
お読みいただきどうだったでしょうか?
シミ治療と一言でいっても、その原因や病態により様々です。
美白内服セットは全身動態にのり、局所濃度・刺激が高くならない分、比較的安全な治療法だと考えられています。(シミの種類によっては効果がなかったとしても、たいして増悪もない)
ただ、効果がない、または乏しいのにお金をかけ続けるのはスマートではありません。
皆様にあった最適な治療法が見つかる一助になれれば幸いです。