【医師が解説】エクソソーム点滴のデメリット・副作用を分かりやすく解説

「エクソソーム点滴を受けてみたいけど、デメリットや副作用がないか不安」
「エクソソーム点滴を受けると献血ができなくなるって、本当?」
「エクソソーム点滴って危なくはないのかな?」

エクソソーム点滴について、このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?

エクソソーム点滴は若返りなどのメリットが期待できる治療です。興味を持たれている人も多いことでしょう。

どのような治療も少なからず副作用やデメリットを伴います。もちろん、デメリットを上回るメリットがなければ、治療として認められません。それでも、可能な限りリスクは避けたいものです。

スマートスキンクリニックでも取り扱いのある「エクソソーム点滴」について、美容皮膚科クリニックが医療的立場から安全性やリスクを解説します。

目次

エクソソーム点滴のデメリット・副作用

エクソソーム点滴には、以下の大きく5つのデメリット・副作用があります。

①一般的な副作用:エクソソーム点滴に特異的ではなく、点滴一般で起こる副作用
②献血・輸血ができなくなる
③癌があった場合に悪化する可能性がある
④効果の不確実性がある
⑤費用が高い

それでは続いて、それぞれのデメリット・副作用について詳細に解説致します。

①一般的な副作用

エクソソーム点滴の一般的な副作用として挙げられるのが「穿刺部の疼痛・赤み・腫れ」「アナフィラキシー反応」です。

穿刺部の疼痛、赤み、腫れ

エクソソームに限らず、点滴全般にあらわれる副作用には、針を刺すことによる痛み・赤み・腫れが挙げられます。これらの症状は数日以内に治まります。

ただし、点滴中に輸液が血管外に漏れ出てしまった場合、血管の周囲の腫れやピリピリとした痛みなどの症状があらわれ、放っておくと徐々に症状が増強します。点滴開始後に異常があらわれた場合は、直ちにスタッフにお声掛けください。

アナフィラキシー反応

稀に、エクソソームに対する副作用として「アナフィラキシー反応」があります。(※エクソソームに限らず他の点滴にも言えます)

アナフィラキシー反応とは、アレルギー反応の最も重篤な状態です。
アレルギー反応は、体内に侵入してきた「通常は無害な物質」に対する過剰な免疫反応です。代表的な症状に、くしゃみや痒み、発疹などがあります。

さらに「アナフィラキシー反応」を起こすと、短時間で血圧低下や意識低下などのショック状態に陥ることもあり、直ちにアドレナリン筋肉注射などの処置が必要になります。

エクソソーム点滴をする際は、事前にアレルギーの既往や当日の体調などをヒアリングしたうえで、医師が施術の是非を判断し、点滴中もアレルギー反応のないことを確認します。点滴中はもちろん、点滴後に発疹・痒み・蕁麻疹などの症状がみられたら、直ちにクリニックスタッフまでご相談ください。

複数回穿刺する場合もある

エクソソームに限らず点滴全般におけるデメリットとして、何度も針を刺されてしまうケースがあります。針を刺すたびに痛みや内出血が起こります。内出血があらわれた場合、はじめは濃い紫色をしていますが、1~2週間かけて徐々に黄色っぽく薄くなり、最後は消失します。

血管が見えにくいために、点滴や注射を何回も刺されやすい人もいます。例えば、皮下脂肪が多いと血管が見えにくく、刺しにくいものです。

また、血管の刺しやすさ・刺しにくさに関わらず、看護師の技術不足により、何度も刺し直しになってしまうケースもあります。

②献血・輸血ができなくなる

エクソソーム点滴を受けると、原則として治療後の輸血や献血はできません。

エクソソームは比較的安全な治療と考えられていますが、生体由来の成分であるため、現在の検査法では検出できない未知のウイルスに感染している可能性もあります。

輸血される側の安全性が十分確認できないため、エクソソーム治療の後は献血を控えていただく必要があります。

③癌があった場合に悪化する可能性がある

エクソソームには、癌があると悪化させる可能性があります。

エクソソームは、RNAやタンパク質などの情報を含む物質を運ぶ、細胞間のメッセンジャーとして働いています。そのため、体内に注入されると元の生体に含まれる良い情報だけでなく悪い情報も伝えてしまう可能性があります。癌細胞を含む生体から採取したエクソソームを利用した場合、注入先の細胞を癌化させてしまうかもしれません。

また、癌は自己増殖、浸潤、転移という性質を持っています。もし、点滴を受ける方に癌があった場合、エクソソーム点滴により、癌細胞の性質を増強させ、増殖させてしまう可能性があります。エクソソーム点滴を受ける場合は、事前に検査を受け、癌の可能性を排除しておくとよいでしょう。

Here, we review the current literature investigating EVs and aging with an emphasis on consequences for the maintenance of human healthspan. Intriguingly, the biological utility of EVs both in vitro and in vivo and across contexts depends on the states of the source cells or tissues. As such, EVs secreted by cells in an aged or pathological state may impose detrimental consequences on recipient cells, while EVs secreted by youthful or healthy cells may promote functional improvement. Thus, it is critical to understand both functions of EVs and tip the balance toward their beneficial effects as an antiaging intervention.

(和訳)興味深いことに、EV(細胞外小胞≒エクソソーム)の生物学的有用性は、in vitroでもin vivoでも、元の細胞や組織の状態に依存する。そのため、老化した細胞や病的な状態の細胞から分泌されたEVは、レシピエント細胞に有害な結果をもたらす可能性がある一方、若々しい細胞や健康な細胞から分泌されたEVは、機能改善を促進する可能性がある。したがって、EVの両方の機能を理解し、アンチエイジングへの介入としてうまく利用することが重要である。

参考
Brian V Lananna, Shin-Ichiro Imai.“Friends and foes: Extracellular vesicles in aging and rejuvenation.“ FASEB bioAdvances. 2021 Oct;3(10);787-801. doi: 10.1096/fba.2021-00077.

④効果の不確実性がある

エクソソーム点滴には期待できる効果が沢山ありますが、「100%効果があらわれる」とは言い切れない側面もあります。その理由としては大きく2つあります。

①新しい治療法であり、データが少ないので断言できない。効果が認められている研究もありますが、従来の治療法と比較した場合まだまだ臨床研究自体の数が少ないという意味になります。
②エクソソームの精製法・保存法・再現性などにもばらつきがあり、頻度や回数による有用性も確立されていないことなどが挙げられます。

ただし、エクソソームがどこ由来なのかはチェックしておきたいところです。エクソソームは臍帯・羊膜・歯髄・脂肪などから採取でき、それぞれの由来により再生力が異なります。

臍帯は他の組織由来のものに比べ若い細胞で、効果の高さが期待できます。

臍帯とは、母体から胎児へ栄養を送る「臍の緒」のことです。分娩時に切りはなされた直後に採取された臍帯血は、さまざまな治療に用いられています。

なお、臍帯由来のエクソソームは、以下の論文でも「皮膚の若返りに必要なコラーゲンの合成を促進する」ことが検証されています。

We found that USC-CM has various growth factors associated with skin rejuvenation. Our in vitro results showed that USC-CM Exos integrate in Human Dermal Fibroblasts (HDFs) and consequently promote cell migration and collagen synthesis of HDFs. Moreover, we evaluated skin permeation of USC-CM Exos by using human skin tissues. Results showed that Exo-Green labeled USC-CM Exos approached the outermost layer of the epidermis after 3 h and gradually approached the epidermis after 18 h. Moreover, increased expressions of Collagen I and Elastin were found after 3 days of treatment on human skin. The results showed that USC-CM Exos is absorbed into human skin, it promotes Collagen I and Elastin synthesis in the skin, which are essential to skin rejuvenation and shows the potential of USC-CM integration with the cosmetics or therapeutics.

(和訳)in vitroの結果、ヒト臍帯血由来間葉系幹細胞から抽出したエクソソーム(USC-CM Exos)はヒト真皮線維芽細胞(HDFs)に集積し、その結果、HDFsの細胞遊走とコラーゲン合成を促進することが示された。さらに、ヒト皮膚組織を用いてUSC-CM Exosの皮膚透過性を評価した。その結果、Exo-Green標識USC-CM Exosは、3時間後に表皮の最外層に接近し、18時間後には徐々に表皮に接近した。さらに、ヒト皮膚への投与3日後には、コラーゲンIとエラスチンの発現増加が認められた。この結果から、USC-CM Exosはヒトの皮膚に吸収され、皮膚の若返りに不可欠なコラーゲンIとエラスチンの合成を促進することが示され、USC-CMと化粧品や治療薬との統合の可能性が示された。

引用元
Yoon-Jin Kim, Sae Mi Yoo, Hwan Hee Park, Hye Jin Lim, Yu-Lee Kim, Seunghee Lee, Kwang-Won Seo, Kyung-Sun Kang.” Exosomes derived from human umbilical cord blood mesenchymal stem cells stimulates rejuvenation of human skin.” Biochemical and biophysical research communications. 2017 11 18;493(2);1102-1108. pii: S0006-291X(17)31817-X.

⑤費用が高い

エクソソーム点滴は自由診療で、保険適用ではありません。
クリニックにより料金体系は異なります。1回あたりの費用は約50,000~200,000円です。

エクソソームが他の点滴に比べて比較的高額な理由は、臍帯など希少性があるものを使用すること、健康な生体から細胞を採取・培養・抽出するなど、それぞれの過程でコストがかかることが挙げられます。

効果は永久的ではないため、期待する効果を得るには約1か月毎の治療が必要と。必要回数や頻度はクリニックにより考えが異なるため、カウンセリングでしっかり相談し、納得のいく治療を受けましょう。

スマートスキンクリニックのエクソソーム点滴

エクソソーム点滴の副作用やデメリットについて、疑問は解消されたでしょうか?

エクソソーム点滴は、直接血管からエクソソームを注入できるため、全身にエクソソームの効果が期待できる治療です。デメリットはありますが、理解し納得したうえで上手に活用すれば、細胞レベルの若返りという魅力的なメリットが期待できます。

スマートスキンクリニックでは、今回解説したようなデメリットを可能な限りなくす努力をしており、純度99%の臍帯由来エクソソームによる点滴を取り扱っています。当院のエクソソーム点滴については、下記の記事でデータも示しながら詳細に解説していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

参考文献

Brian V Lananna, Shin-Ichiro Imai.“Friends and foes: Extracellular vesicles in aging and rejuvenation.“ FASEB bioAdvances. 2021 Oct;3(10);787-801. doi: 10.1096/fba.2021-00077.

Yoon-Jin Kim, Sae Mi Yoo, Hwan Hee Park, Hye Jin Lim, Yu-Lee Kim, Seunghee Lee, Kwang-Won Seo, Kyung-Sun Kang.” Exosomes derived from human umbilical cord blood mesenchymal stem cells stimulates rejuvenation of human skin.” Biochemical and biophysical research communications. 2017 11 18;493(2);1102-1108. pii: S0006-291X(17)31817-X.

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