目尻のシワ｜原因と治療法、ホームケアまで医師が徹底解説

「目尻のシワにファンデーションが溜まる」
「目尻のシワのせいで老けた印象、疲れた印象にみられがち」
「目尻のシワはどうやって改善できる？」

目尻のシワについて、このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか？

こんにちは。美容皮膚科・スマートスキンクリニックの医師です。
今回は「目尻のシワ」の種類、原因や治療法、セルフケアについて、専門家の立場から詳しく解説します。

目尻のシワの治療法やセルフケアだけをすぐに知りたい人は、目次から該当箇所に直接飛ぶことができます。

目尻のシワの種類

目尻のシワと一言で言いますが、実は、以下のような分類に分けられます。

それぞれのシワによって適切な治療法が異なりますので、正しく自分のシワがどれに当たるのかを認識することが重要になります。以下に一覧表にまとめました。

種類	小じわ	表情ジワ	深いシワ	たるみジワ
特徴	細かくちりめん状、浅い	表情とともにあらわれる	無表情でもわかる、深い	たるみとともにあらわれる
主な原因	・乾燥	・表情癖	・加齢 ・紫外線	・加齢 ・皮膚の弛緩 ・眼輪筋の衰え
セルフケア	・保湿 ・スキンケアの見直し	・筋肉の緊張を緩める	・紫外線対策	・頭皮マッサージ
治療法	・イオン導入 ・トレチノイン外用 ・スネコス注射 ・スネコスパフォルマ注射 ・ジャルプロクラシック注射 ・プルリアルシルク注射 ・PRP注射	・ボツリヌストキシン注射	・ゴウリ注射 ・ジュベルックボリューム（レスニナ）注射 ・PRP注射	・プロファイロ注射

目尻のシワは、大きく「小ジワ」「表皮ジワ」「深いシワ」「たるみジワ」の４種類に分けられます。

肌表面に近い部分にあらわれるシワは比較的小さく、肌の内部に行くほど深く大きなシワになりますが、小じわを放置すると深いシワに至るため、早期のケアが重要です。また、深いシワが進行すると、皮膚・骨・筋肉の構造変化からたるみジワを生じます。

「目尻のシワ」と一言で言っても、それぞれの状態に応じて適したケアや治療法が異なります。また、複数のシワが重なり合って生じていることもあります。

目尻はシワができやすい構造

目尻には、以下のようなシワができやすい特徴があります。

目尻は非常にデリケートな構造です。そのため、若くても目尻のシワがあらわれます。

また、男性の目尻のシワは、皮膚生理的な特徴と生活習慣の特徴により、女性より10年以上早く形成されるというデータもあります（※）。

目尻のシワの原因とは

では、目尻のシワは、なぜできるのでしょうか？
目尻のシワの原因として、単一の要因ではなく以下の要因が複合的に関係しています。

乾燥

乾燥すると、目尻のシワがあらわれやすくなります。

そもそも、目元は構造的に乾燥しやすい部位です。水分と油分のバランスが取れた皮膚はふっくらとキメが整った状態ですが、乾燥すると肌表面に凸凹が生じて小ジワがあらわれます。水分・油分が不足した肌は、乾燥だけでなく外部からのダメージにも脆くなり、深いところまでシワが及ぶ可能性があるでしょう。

加齢

加齢によって、あらゆる種類のシワが目立つようになります。

女性の場合、女性ホルモンの分泌が30代後半から減少しはじめ、50歳前後で急激に低下します。女性ホルモンは皮膚の中にあるヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンなどハリや弾力のもととなる細胞の産生を促す働きがあります。ホルモン分泌が減少すれば、肌内部の構造が変性して不均一になり、シワが発生します。

また、加齢とともに肌の生まれ変わりの周期（ターンオーバー）が遅くなり、結果としてキメが乱れ、小じわが生じます。

表情癖

表情癖は、表情ジワにつながります。目尻のシワは「笑いジワ」とも呼ばれるように、特に笑う表情が影響します。

目尻は瞬きや表情によって皮膚が伸び縮みしやすい部位です。何度も同じ動きを繰り返すと、肌が弾力を保っているうちは元に戻りますが、弾力が失われると跡に残りやすくなります。

また、筋肉が長い時間緊張し続けると、血流が悪くなり、肌のコンディションが落ちてしまうでしょう。

紫外線ダメージ

紫外線を浴びると、深いシワが形成されます。

老化の8割が光老化と言われています。紫外線のうちUVAは、肌の奥にある真皮層まで到達します。真皮層にあるコラーゲンやエラスチンがダメージを受けて変性すると、深いシワにつながります。紫外線は1年中降り注いでおり、窓ガラスも透過します。

なお、紫外線は目にもダメージを与えます。活性酸素が増え、自律神経の乱れが生じ、肌の再生にも影響を及ぼす可能性があります。

目尻への刺激・摩擦

目元の皮膚はとても薄いため、刺激や摩擦を繰り返すとシワが生じやすくなります。
例えば、以下のような癖はありませんか？

毎日繰り返すメイクやスキンケアによる摩擦は、シワの形成を助長します。また、アレルギーなどの痒みから、無意識に目周りを掻いてしまう行為も、皮膚へのダメージとなります。

目の疲れ

目の疲れは、血行不良から目尻のシワを招きます。

長時間のパソコンやスマートフォンの使用は、毛様体筋や眼輪筋を緊張させ、目周りの血行不良を起こします。血液の巡りが悪いと、目周りの皮膚に栄養や酸素が送られにくくなり、シワにつながります。

生活習慣の乱れ

日頃の生活習慣も目尻のシワと関係します。例えば、以下のような習慣が考えられます。

アンバランスな食生活

アンバランスな食生活を送っていると、栄養不足に陥り、肌荒れやシワにつながります。

栄養素には「肌を構成する」「コラーゲンを生成する」「酵素の働きを助ける」など、それぞれに役割があります。たんぱく質は肌を作る大切な栄養素として知られていますが、メインとなる栄養素を摂取するだけでは不十分です。メインの栄養素の働きをサポートするビタミンやミネラルなどの微量栄養素も欠かせません。さまざまな栄養を摂取するには、特定の食品や栄養素に偏ることなく、適切な時間に適量をバランスよく摂取することがポイントです。

朝食抜き、遅い時間に食べる、間食が多い、糖質や脂質が多いといった食生活は、改善が必要です。

睡眠不足

睡眠不足は肌の生まれ変わりを妨げ、自律神経を乱し、あらゆるシワを招きます。

睡眠中はコラーゲンの合成や成長ホルモンの分泌が活発になり、日中にダメージを受けた細胞が修復・再生される時間です。睡眠不足になると、これらの活動が妨げられたり、肌のターンオーバーが乱れたり、といったことに。さらに、血行不良で目元の細胞に栄養が届きづらくなります。小ジワや深いシワだけでなく、自律神経が乱れて筋力低下からたるみジワにつながることも考えられます。

冷え・ストレス・喫煙による血行不良

冷え・ストレス・喫煙、これらは血流を悪化させ、目尻のシワを招きます。

体温が下がると、体は熱を逃がすまいとして血管を収縮させます。ストレスは自律神経を乱すことで、血管を収縮させます。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮したり血液をドロドロにします。

血液の巡りが悪くなれば、必要な栄養が細胞に届かなくなり、いずれ乾燥による小じわやハリ・弾力不足による深いシワにつながるでしょう。

目尻のシワに対するセルフケア

目尻のシワを、セルフケアだけで劇的に改善させることは難しいでしょう。ただし、これ以上の悪化を防ぐために、ご自身でできることはあります。（治療をしたい方は美容医療の項目をお読みください）目尻のシワを予防するセルフケアを紹介します。

疲れ目からシワを防ぐ方法

疲れ目によるシワを防ぐために、目を休ませる方法を紹介します。

たるみジワには眼輪筋マッサージも有効ですが、やり過ぎや誤ったやり方は、かえって表情ジワを悪化させてしまう可能性もあります。
代わりに「頭皮マッサージ」をするのもよいでしょう。側頭筋は目周りの血流にも影響を及ぼします。目尻の延長上、耳の上にある側頭筋を指の腹や親指の付け根でゆっくりと持ち上げるように揉みこみます。強さは、美容室でシャンプーをしてもらうくらいで十分です。

また、目元を温めると筋肉の緊張を和らげ、血流を促します。目元を温めるには、ホットアイマスクが便利です。以下に、簡単な方法を紹介します。

摩擦を避けるアイメイクオフの手順

目尻のシワを作らないために、アイメイクは以下の手順で丁寧にオフしましょう。

乾燥や摩擦を避けるスキンケアのポイント

目尻のシワは日々の誤ったケアによっても、じわじわと引き起こされます。
正しいケアができているか、見直してみましょう。

目尻を擦ったり強く引っ張ったりしないよう、スキンケアやコスメを塗布するときは薬指や小指など、力が入りにくい指を使いましょう。化粧水だけで終わらせてしまうと、せっかく塗った水分が逃げてしまうため、必ず乳液やクリームを塗布します。

また、目元はエイジングサインがあらわれやすい部位です。年齢に応じ、目元用のアイテムを取り入れましょう。

目尻のシワ改善に効果的な美容成分

乾燥が原因の小じわには、セラミド、ヒアルロン酸などの保湿成分が含まれたスキンケアアイテムがおすすめです。

深いシワには、厚労省でシワ改善効果が認められている成分を配合した薬用化粧品があります。シワ改善効果が認められている成分には、「レチノール」「ナイアシンアミド」「ニールワン®」「ライスパワー®エキスN0.11」などがあります。

紫外線対策は1年中！室内でも徹底する

紫外線ダメージを蓄積しないよう、以下のポイントを守って対策しましょう。

生活習慣の見直し

生活習慣を見直すポイントは、以下の通りです。

目尻のシワの治療法【美容医療】

「目尻のシワをセルフケアよりも早く改善したい」
「ピンポイントで目尻のシワだけを治療したい」

という人には、美容クリニックでの治療が必要となります。

以下に代表的な目尻のシワ治療法について、一覧にまとめました。

項目	イオン導入	トレチノイン外用	スネコス注射	スネコスパフォルマ注射	ジャルプロクラシック注射	プルリアルシルク注射	ボツリヌストキシン注射	ジュベルックボリューム（レスニナ）注射	PRP注射	ゴウリ注射	プロファイロ注射
小じわ	○	○	○	○	○	○					○
表情ジワ							○
深いシワ								○	○	○	○
たるみジワ									○		○
治療の説明	美容成分を肌に導入	ビタミンA誘導体を患部に塗布	非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸を主成分とした製剤を注入	スネコス進化版・特許取得の比率で配合された製剤を注入	非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸を主成分とした製剤を注入	サーモン由来のポリヌクレオチドを主成分とした製剤を注入	ボツリヌストキシン製剤を筋肉に注射	非架橋ヒアルロン酸とポリ乳酸を配合した製剤を注入	自身の血小板にFGF（成長因子）を加え注入	PCL（ポリカプロラクトン）を液状化した製剤を注入	高分子と低分子のヒアルロン酸を配合した製剤を注入
効果	保湿	ターンオーバー促進・ハリ向上	保湿・コラーゲン生成促進	保湿・ターンオーバー促進・コラーゲン生成促進	保湿・ターンオーバー促進・コラーゲン生成促進	保湿・コラーゲン生成促進・抗酸化作用・抗炎症作用	筋肉の動きを抑制	コラーゲン生成促進・ハリやツヤの向上	コラーゲン生成促進・保湿・ターンオーバー促進	コラーゲン生成促進	保湿・ハリや弾力性の改善・自然なボリューム増加
効果の発現時期	即時	数週間後	数日後	数日後	数日後、ピークは数週間後	術後数日	1〜2週間後	2～3週間後	徐々に	数日後から徐々に	数日から数週間後、ピークは1か月後
効果の持続期間	数日〜1週間	継続使用で効果持続	6〜9ヶ月	6～9ヶ月	6〜9ヶ月	6～12ヶ月	3〜6ヶ月	1～2年	5年以上	6ヶ月～1年	6ヶ月～1年
ダウンタイム	ほとんどなし	軽い赤み・皮むけ	24時間／痛み・赤み・腫れ・内出血	24時間／痛み・赤み・腫れ・内出血	24時間／痛み・赤み・腫れ・かゆみ・内出血	数日／痛み・赤み・腫れ	軽度の腫れ・赤みが1〜2日	24時間／痛み・赤み・腫れ・内出血	数日／赤み・腫れ・	24時間／赤み・隆起・内出血	24時間／膨れ・赤み・腫れ・内出血

イオン導入

電気の力を使い、美容成分を手塗りよりも肌の奥まで浸透させる技術です。
ダウンタイムもなく、即効性があり、他の治療と併用しやすい治療です。導入薬剤により効果が異なります。

トレチノイン外用

トレチノインはビタミンA誘導体で、肌の新陳代謝に働きかけてシワ改善に導く薬剤です。細胞のターンオーバーを促し、コラーゲン生成を促進する働きがあります。

使用初期にA反応と呼ばれる赤み・皮むけ・乾燥といった副作用があらわれることがあります。医師の指示のもとに適切に使用しましょう。

スネコス注射

スネコスは、非架橋ヒアルロン酸と6種類のアミノ酸を主成分とする製剤です。

乾燥した肌を潤わせ、コラーゲン生成を促進してハリや弾力を高める働きがあります。特に目元のクマや小じわの改善に有効で、自然な仕上がりを求める方に適しています。

スネコスパフォルマ注射

目元のシワの改善に特化したスネコスの進化版の注入製剤です。従来のスネコスよりも効果と持続性が向上しました。

ジャルプロクラシック注射

ジャルプロは、非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸を主成分とする注入製剤で、肌の修復と再生を促進します。

ジャルプロクラシック・ジャルプロHMW・ジャルプロスーパーハイドロの3種類があり、目尻のシワには、ジャルプロクラシックがおすすめです。

プルリアルシルク注射

プルリアルシルクは、サーモン由来のポリヌクレオチド（PN）を主成分とした注入剤です。

肌の自己修復能力を高め、コラーゲン生成を促進することで肌の弾力やハリを改善し、自然な若返り効果が期待できます。特に目元や口元のデリケートな部分に適しています。

ボツリヌストキシン注射

極細の針を使用して、目尻のシワの原因となる筋肉に、少量のボツリヌストキシン（ボトックス）を注入します。

ボツリヌストキシン注射には、筋肉の動きを一時的に抑制することで表情ジワを減少させる効果があり、皮膚が滑らかになりシワが目立たなくなります。

ジュベルックボリューム（レニスナ）注射

ジュベルックボリューム（レニスナ）は非架橋ヒアルロン酸とポリ乳酸（PDLLA）を組み合わせた注入薬剤です。

ジュベルックに比べ粒子が大きく、肌の深いところで働きボリュームアップが期待できます。コラーゲンやエラスチンの生成が促進され、深いシワに効果的です。

PRP療法

PRP療法は、PRPにFGF（成長因子）を添加した製剤を用いた再生医療。PRPはPlatelet Rich Plasma（多血小板血漿）の略で、患者様ご自身の血液中の血小板を濃縮して活性化したものです。

自然な自己組織の再生を促進し、シワ・たるみ・肌の凹み・クマ改善などに効果を発揮するため、異物の注入に抵抗がある方におすすめです。

特に注目すべきなのは、長期的な効果です。

ゴウリ（GOURI）注射

ゴウリ注射は、PCL（ポリカプロラクトン）を含む液状化された注入製剤で、リフトアップやたるみ改善に効果的です。PCLは医療用糸として使われ、体内で吸収されることでコラーゲンとエラスチンの生成を促進します。

特に目元のシワやたるみ、リフトアップに高い効果があり、1ヶ月程度の間隔を空けて3～4回の施術が推奨されています。

プロファイロ注射

プロファイロ注射は、高分子と低分子のヒアルロン酸を高濃度に配合しています。

肌全体の若返りを目的として、保湿効果の高さから乾燥ジワに、組織修復サポートや細胞増殖と分化の調整などの作用から深いシワやたるみジワに効果が期待できます。

治療効果を最大化するためにできること

治療効果を最大化するために、治療前に以下のポイントをおさえておきましょう。

また、治療後はセルフケアや生活習慣の見直しを継続し、新たな目尻のシワの予防に努めることも大切です。

目尻のシワを目立たせないためのメイク術

目尻のシワをすぐに消したいとき、クリニックの治療をすぐに受けられないときは、メイクで目立たなくすることができます。

目尻のシワをファンデーションやコンシーラーで隠そうとすると、かえってシワに溜まって目立ってしまいます。ファンデーションは薄く塗り、スポンジでなじませましょう。

代わりに、ハイライトを塗布し、シワを光で飛ばす視覚効果を狙います。

また、乾燥を防ぐため、メイクの前のスキンケアで十分な保湿を行っておくこともポイントです。

目尻のシワを改善するためには何を始めればいいの？

即効性を求めるなら美容治療、予防や維持ならスキンケアや生活習慣の見直しです。

若くても目尻のシワができる原因は？

目元の皮膚は薄く皮脂分泌量が少ないため、乾燥しやすい部位です。そのため、若くても目尻のシワができます。

目尻のシワを目立たせないためのメイク方法は？

保湿後、ファンデーションは薄くして、目尻にはハイライトを入れます。さらに、リップメイクをメインにするとよいでしょう。

目尻のシワのお悩みはスマートスキンクリニックへ

目尻のシワについて、疑問や不安は解消されましたでしょうか？

美容皮膚科・スマートスキンクリニックは、メスを使わず注射や点滴で肌をきれいにする治療を行っています。必要のない処置は行わず、コストを抑えて良質の製剤をご用意。無理な勧誘はいたしません。

少しでも目尻のシワでお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。

参考

※資生堂