目の下のクマ|種類別の原因と治療法、ホームケアまで医師が徹底解説
「目の下のクマがひどい、治す方法はある?」
「自分の目の下のクマは青クマ?茶クマ?黒クマ?原因は?」
「目の下のクマを自宅でケアする方法はある?」
目の下のクマについて、このようなお悩みはありませんか?
こんにちは。美容皮膚科・スマートスキンクリニックの医師です。
目の下のクマは、多くの人々が抱えるお悩みです。本コラムでは、クマの種類や原因、見分け方、ホームケアからクリニックでの治療法に至るまで、専門家の視点からわかりやすく解説します。
目の下のクマについての概要
目の下のクマは、下まぶたの色から「青クマ」「茶クマ」「黒クマ」の大きく3種類に分けられます。
それぞれの特徴、ホームケアや効果的な治療法を一覧表にしました。
ホームケアや治療法だけわかればよいという方は、目次からお読みになりたい項目に飛ぶことができます。
特徴 | 青クマ | 茶クマ | 黒クマ |
タイプ | 血行不良型 | 色素沈着型 | たるみ型 |
主な原因 | 睡眠不足 目の疲れ 冷え | 紫外線 摩擦 角質肥厚 | 加齢 皮膚の弛緩 眼輪筋の衰え 眼窩脂肪の下垂や突出 |
見分け方 | 目尻を軽く引っ張ると薄くなる | 皮膚を引っ張っても上を向いても 変わらない | 上を向くと薄くなる |
ホームケア | 血行を促すケア 睡眠をとる | 美白ケア 擦らないケア 紫外線対策 | 眼輪筋トレーニング 紫外線対策 |
治療法 | スネコスパフォルマ注射 アイスレッド PRP+FGF注射 | ケミカルピーリング Qスイッチレーザー トラネキサム酸内服 PRP+FGF注射 | スネコスパフォルマ注射 ジュベルックボリューム注射 アイスレッド PRP+FGF注射 下眼瞼脱脂 |
目の下のクマに影響を及ぼす目周りの構造と変化
目の下のクマについての理解を深めるために、目周りの構造とその変化について説明しましょう。
【目周りの構造】
- 眼球(目玉)
- 眼窩(がんか、アイホール):目玉が収まる頭蓋骨のくぼみ
- 眼窩脂肪:目周りの脂肪
- 眼輪筋:目周りの筋肉
- 靱帯:目玉と眼窩脂肪が下垂しないよう支えている繊維
- まぶた:目玉を覆うひだ
目の周りは人体の他の部位と同じく、骨・筋肉・脂肪・皮膚などから構成されています。
眼球は頭蓋骨のくぼみ「眼窩(がんか)」に収まっています。眼窩の下方がつながる先は頬骨です。
眼球と眼窩の間には「眼窩脂肪」があり、眼球を保護するクッションのような役割を担っています。
さらに、目の周りは「眼輪筋」という筋肉で円形に囲まれ、目を閉じるときに使われます。
これらを覆うように守っているのが「まぶた」です。
まぶたの皮膚
まぶたの皮膚は、体の他の部分と同じように、「メラニン色素を含む表皮層」、「弾力のもととなるコラーゲンを含む真皮層」、そして「皮下組織」でできています。
目の周りの皮膚はとても薄く、頬の皮膚の3分の1から2分の1くらいの厚さしかありません。そのため、目の周りの皮膚は敏感で、外からの刺激に弱いです。また、目の周りにはたくさんの細い血管があり、薄いまぶたの皮膚から透けて見えることがあります。
さらに、年を取ると真皮層にあるコラーゲンが減っていくので、皮膚がもっと薄くなってしまいます。
メーラーファット
目の周りだけでなく、目の近くの部分も目の下のクマに関係します。
メーラーファットは、頬骨の上の部分にある脂肪です。この脂肪は年を取ると重力の影響を受け、下がったり頬のボリュームが減ったりします。
目の下のクマの種類と特徴
- 青クマ:下まぶたの皮膚の下にある色の悪い血液の色が透けて、青く見える状態
- 茶クマ:目の下の皮膚にメラニン色素が沈着して茶色くなった状態
- 黒クマ:目袋や目の下の凹みによって影ができる状態
目の下のクマの種類別の特徴を、詳しく解説します。
青クマ:血行不良型
青クマは、血液の巡りが悪くなることで起こります。
血液には、細胞に酸素や栄養素を運ぶ働きがあります。血液の巡りが悪いと、皮膚に十分な酸素や栄養が届きません。皮膚の色は、血液や脂肪、色素などで決まるため、血液の色が黒くなると、目の下の薄い皮膚から透ける色も青っぽくなります。
その結果、青クマが発生します。
たとえば、睡眠不足やストレスが続くと、血行が悪くなります。また、長時間パソコンやスマートフォンを長時間使うと、目が疲れて血流が悪くなり、青クマが目立ちます。
茶クマ:色素沈着型
茶クマは、メラニン色素の沈着が原因です。
色素沈着の原因は、紫外線・乾燥・摩擦・加齢によるターンオーバーの乱れなどが挙げられます。
たとえば、紫外線を浴びると、シミやくすみの元となるメラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が刺激されます。乾燥した肌はバリア機能が低下し、紫外線のダメージを受けやすくなります。また、アトピー性皮膚炎や花粉症による痒みで目元を掻きむしることや、メイク落としのときに目元を擦ることも、メラニンの合成を高める原因です。
皮膚は本来、28日周期で生まれ変わり、シミの原因となるメラニン色素もやがて排出されます。しかし、加齢などにより皮膚の生まれ変わりの周期(ターンオーバー)が遅くなると、垢となって排出されるはずのメラニン色素を含んだ角層が厚くなり、シミやくすみ、クマが目立ちやすくなります。
黒クマ:たるみ型
黒クマの原因は、骨格や脂肪の位置、眼輪筋の衰え、靱帯のゆるみによる眼窩脂肪の突出です。黒クマは影クマとも呼ばれます。
年を取るとコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚や靱帯がたるみやすくなります。その結果、眼窩脂肪が前方に突出し、目の下にふくらみができ、黒クマが目立つようになります。紫外線も皮膚の老化を促進する主な原因です。
また、頬のハリや弾力が失われることで、皮膚が痩せてメーラーファットが下垂し、目の下のクマがさらに強調されます。これにより、目の下にくぼみや影ができやすくなります。
骨格によっては、若い人でも黒クマができやすいことがあります。
黒クマはホームケアでの改善が最も難しく、十分な効果が得られないことが多いものです。専門的な治療が必要な場合もあります。
セルフチェックは参考程度、目の下のクマを見分けるには専門家の診察を
「クマの特徴や原因を知っても、自分のクマの種類がわからない」という方も多いでしょう。
以下に、目の下のクマの簡易的なセルフチェック方法を紹介します。
【簡易セルフチェック】
- 青クマ:目の下を引っ張っても、色が一緒に動かない
- 茶クマ:目の下を引っ張ると、色が一緒に動く
- 黒クマ:顔を上に向けて鏡を見たとき、クマが消える
しかし、セルフチェックをしても「どれも当てはまる気がする」と感じるかもしれません。
目の下のクマを見分けるのは難しく、原因が必ずしも1つではない場合もあり、複数のクマが組み合わさっていることもあります。その場合は、どのようなホームケアや治療を優先するかを医師と相談することが重要です。複合的な症状であっても、適切なアプローチをすれば、一度に複数のクマを改善できることもあります。
目の下のクマのホームケア
「目の下のクマ治療の前に、まずはセルフケアでどうにかしたい」「自分でできることをしたい」と考える人もいるでしょう。
目の下のセルフケア方法を紹介します。治療後のホームケアとしてもおすすめです。
なお、化粧品は医薬品に比べ作用は穏やかですが、薬用化粧品には一定の効果が認められた有効成分が配合されているものもあります。
「青クマ」におすすめのホームケア
血行不良型の「青クマ」におすすめのホームケアは、巡りを良くするためのケアです。
- 目元を温めるケア(蒸しタオル、ホットアイマスク)
- 目元の温冷ケア(温タオル・冷タオルを5分おきに交互に数回、目の下に乗せる)
- 湯船に浸かる
- 全身の運動、ストレッチ、同じ姿勢を続けないようにする
- 眼輪筋トレーニング(眼だけを上下左右に動かす)
- 食事の改善(油脂の多い食事を避け、青魚や野菜を摂る)
- 睡眠時間・質の確保
目元のマッサージは、摩擦によるシワや色素沈着を招くリスクがあります。化粧品・オイルなどを用い、他の部位よりも軽く、力が入りすぎないよう薬指を中心に使いながら行いましょう。
眼輪筋トレーニングや瞬きによるストレッチは、力を入れすぎたりやりすぎたりすると、目周りの薄い皮膚に対しシワの原因となることがあります。
「茶クマ」におすすめのホームケア
色素沈着型の「茶クマ」におすすめのホームケアは、メラニンを増やさないためのアプローチです。
- 紫外線ケア(日傘・日焼け止め・サングラス・帽子などの使用)
- 目元を擦らない
- 美白成分の入った目元化粧品の使用(ビタミンC誘導体、アルブチン、ハイドロキノンなど)
- 保湿ケア(アイクリームなど)
- ターンオーバーを乱さないためのバランスの良い食事と十分な睡眠
保湿はスキンケアの基本です。乾燥しているとバリア機能が低下し紫外線ダメージや摩擦ダメージを受けやすくなります。化粧水や乳液、クリームといった基本のスキンケアに、アイセラムやアイクリームなどを加えましょう。
摩擦・刺激を避けるため、目元のメイクはポイントメイク用クレンジングをコットンで染み込ませて浮かしてオフします。化粧水や乳液は叩かずやさしく塗布しましょう。
「黒クマ」におすすめのホームケア
たるみ型の「黒クマ」におすすめのホームケアは、これ以上たるみを悪化させないためのアプローチです。
- 眼輪筋トレーニング(眼だけを上下左右に動かす)
- 紫外線対策(日傘・日焼け止め・サングラス・帽子などの使用)
- 保湿ケア(アイクリームなど)
紫外線を浴びるとメラニンが増産されるだけでなく、コラーゲンやエラスチンを変性させ、たるみをもたらします。目元も紫外線対策を万全にしましょう。
なお、黒クマをホームケアで改善するのは難しく、プロの治療も視野にいれるとよいでしょう。
目の下のクマの治療法
「ホームケアの効果を感じるまで待てない」「根本的に解決したい」という人には、美容医療がおすすめです。目の下のクマに対して様々な治療方法が提供されています。
以下に、各治療法と対応するクマの種類を一覧表で示します。
スネコスパフォルマ注射
スネコスパフォルマは、非架橋ヒアルロン酸と6種類のアミノ酸を主成分とした注入薬剤です。
目元の真皮層に細かく注入することで、張りや潤いを与え、クマ改善効果が期待できます。
ボリュームロスが補われることで、クマ改善につながるでしょう。スネコスよりも効果が長期的に持続します。
スネコスパフォルマについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
ジュベルック注射
ジュベルックは、非架橋ヒアルロン酸とポリ乳酸を組み合わせた注入薬剤です。
注入後に1~2年かけてゆっくりと体内に吸収され、その間に線維芽細胞を刺激しコラーゲンやエラスチンを自然に増やしてくれ、持続的な効果が期待できます。
ジュベルックはジュベルックボリューム(レニスナ)よりも粒子が小さく濃度が薄いため、目の下のクマなどの皮膚の浅い層の改善に向いています。
ジュベルック注射について詳しくは以下の記事をご参照ください。
アイスレッド
アイスレッドは、一般的な手術にも用いられている極細の溶ける糸を、目の下に挿入する治療です。
糸の挿入刺激と皮膚内で溶けて吸収されることにより、真皮層にある線維芽細胞が活性化され、コラーゲンやエラスチンが増生し、タイトニング効果や脂肪萎縮効果、血流の改善が期待できます。たるみを引き締め、目元のクマ緩和が期待できます。
アイスレッドについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
PRP+FGF注射
PRP+FGF注射は、患者さまご自身の血液から抽出した成分を凝縮し(PRP)、FGF(線維芽細胞増殖因子)を添加したものを注入する治療です。
「Platelet Rich Plasma(多血小板血漿)」の略。「血小板を多く含む血液」のことを指します。
血小板は止血や成長因子を作り出す働きがあり、成長因子には怪我を修復する力があります。
「Fibroblast Growth Factor」の略。「線維芽細胞増殖因子」のことを指します。
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生む「線維芽細胞」を増やす働きがあります。
繊維芽細胞を刺激してコラーゲンやエラスチンを増やし、下まぶたをふっくらさせることで、目の下の黒クマやたるみを改善に導きます。
ご自身の血液から作成することで副作用やアレルギーが起こりにくく、異物が残らないというメリットがあります。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、肌に酸を塗布して肌表面に残っている古い角質を除去する治療です。
ターンオーバーの正常化により、メラニンの排出が促進され、色素沈着の改善が期待できます。一般に、2週間おきに3カ月程度継続すると効果的です。
クマをすぐに隠したいときはメイクでカモフラージュ
クマが気になるとき、治療の効果があらわれるまでの間は、メイクでクマを隠すとよいでしょう。
クマ隠しには、コントロールカラーやコンシーラー、ハイライトを使います。目元はよく動くので、柔らかめのテクスチャーのコンシーラーやコントロールカラーがおすすめです。コントロールカラーはスキンケアの後に、コンシーラーはパウダーファンデーションの前かリキッドファンデーションの後に使います。クマの色の反対色を使用すると効果的です。
以下に、「クマ隠しメイク」のポイントを紹介します。
【クマ隠しメイク】
- 色を選ぶ
青クマ:オレンジ系のコンシーラー
茶クマ:イエロー系のコンシーラー
黒クマ:オレンジ系のコントロールカラー - クマの境目に少量のコンシーラーやコントロールカラーを点置きする
- 薬指の腹を使って、軽くたたきながら定着させる
- 左右に優しくスライドして、自然になじませる
- パウダーを薄く重ねる
- ハイライトを目尻下、頬骨の高いところからこめかみにかけて、シュッとひとかけ入れる
目の下のクマに関する注意点
クマは一般的には美容上の問題ですが、肝臓疾患・腎臓疾患・貧血・甲状腺疾患などが原因の場合もあります。これらの疾患には、倦怠感や痛み、黄疸、むくみ、血尿、めまい、体重増加などの全身症状が伴うことが多いものです。
少しでも気になる点がある場合は、医師にご相談ください。
目の下のクマの治療効果を維持するためにできること
健康的な生活を心がけてきれいな目元の土台を作る
目元は、全身の健康状態も反映します。食事・睡眠・運動・休息のバランスが取れた生活を心がけましょう。
例えば以下のようなことに注意するとよいでしょう。
- 夜更かししない
- アルコールを摂取しすぎない
- 過度に目を使い過ぎない、適度に休む
- 保湿・紫外線対策をする
- 目の下のクマを悪化させないためのホームケアを継続
定期的なメンテナンスを受ける
目の下のクマを治療しても、効果は永久ではありません。
美容皮膚科での治療はもちろん、下眼瞼脱脂などの外科的治療を受けたとしても、加齢とともにコラーゲンの減少や靱帯のゆるみ、骨の萎縮などの変化が起こるのは当たり前のことです。
良い状態を維持するには、定期的なメンテナンスを受けましょう。
目の下のクマ治療のクリニック選びとカウンセリングのポイント
クリニックにより得意な施術や治療方針は異なります。
目の下のクマ治療の実績が豊富なクリニックを選びましょう。治療経験が多いクリニックは、効果的な治療を提供してくれる可能性が高いです。また、口コミもチェックしましょう。実際に治療を受けた人の意見は、クリニック選びの参考になります。
クリニックごとに料金体系が異なるため、治療費や製剤代、カウンセリング代などの費用を事前に確認しましょう。料金が明確で、追加費用が発生しないかどうかも確認することが重要です。
よくある質問
- 目の下のクマができやすい人の特徴は?
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目の下のクマは、種類ごとに以下のような特徴があります。
青クマは、目の下の皮膚が薄い人、色白の人、血行不良、冷え性、寝不足・運動不足の人、疲労やストレスを抱えている人、栄養バランスの悪い人。
茶クマは、目を擦る癖がある人。
黒クマは、年齢が上の人、目の大きい人、男性、眼窩脂肪が多い人。
- 目の下のクマにおすすめのホームケアはある?
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クマの種類によっても異なりますが、全般的に生活習慣の見直しや紫外線対策、保湿はおすすめです。
- クマがひどくなる原因は?
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クマの種類にもよりますが、睡眠不足・ストレス・加齢・紫外線などは、クマの悪化につながります。
- すぐにクマを消す方法はありますか?
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メイクやコンシーラーを使ってカモフラージュする方法があります。
- 目の下のクマはマッサージやクリームで改善できる?
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青クマは、血流を促すマッサージが有効です。茶クマには、有効な成分を含む医薬品が効果的です。
- 目の下のクマ治療の効果はどれくらい持続する?
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数週間から年単位のものまで、治療により異なります。新たな加齢変化もあるため、維持するには定期的なメンテナンスは必須です。
- まつ毛美容液は目の下のクマを招く?
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まつ毛の育毛剤に含まれるプロスタグランジンという薬剤は、毛周期の成長期を長くする働きがありますが、皮膚に付着してしまうと色沈着を招きます。使い方に注意しましょう。
目の下のクマはスマートスキンクリニックへ
目の下のクマを改善するには、クマの種類を正確に把握することが必要です。また、症状により、ホームケアでは改善できないケースもあります。外科的な治療をしたとしても、加齢は止められません。治療効果を維持するには、皮膚科的メンテナンスが必要です。
ご自身のクマの種類や適した治療、ホームケアについて知りたい方は、ぜひ無料カウンセリングにお越しください。最適な方法を提案させていただきます。
なお、無理な勧誘はございませんので、ご安心下さい。