ショッピングリフトと糸リフトの違いを徹底比較

糸リフト（スレッドリフト）について、当院では現時点では取り扱いがございませんが、情報のひとつとしてご利用下さい。
なお、ショッピングリフト（ショッピングスレッド）の取り扱いはございます。

「ショッピングリフトと糸リフトはどう違うのだろう？」
「ショッピングリフトと糸リフト、効果があるのはどっち？」
「短くて細い糸を多くいれるのと太くて長い糸を少なく入れるの、どっちがいいの？」

このようなお悩みをお持ちではありませんか？

こんにちは。美容皮膚科スマートスキンクリニックの医師です。

「ショッピングリフト（ショッピングスレッド）」と「糸リフト（スレッドリフト）」は、いずれも肌に糸を挿入して行う美容治療です。糸の種類によってもさまざまな呼び名があり、治療内容や効果が分かりにくいと感じている方も多いようです。

今回はショッピングリフトと糸リフトについての違いを、美容皮膚科の立場からわかりやすく解説します。

※各項目についてすぐに知りたいという方は、以下の目次から飛ぶことができます。

ショッピングリフトや糸リフトの全体像

まずはショッピングリフトや糸リフトの全体像を把握しておきましょう。

糸（スレッド）を使った治療法は広い意味で「糸リフト」と呼ばれています。使用される糸の素材・太さ、コグ（棘）の有無や形状・方向はさまざまです。棘の付いた長い糸を用いる「糸リフト（スレッドリフト）」や棘のない極細の短い糸を使った「ショッピングリフト（ショッピングスレッド）」のほか、純金製の糸を入れる「金の糸」という施術もあります。

しかし、一般に「糸リフト」といった場合は、主に「スレッドリフト」という治療法を指します。そのため、本記事ではスレッドリフトのことを糸リフトと呼ばせていただきます。

ショッピングリフトの概要

ショッピングリフトは、極細の糸を皮膚の奥にある真皮層に挿入する美肌治療です。

糸の挿入刺激で自身の皮膚の細胞を活性化させ、皮膚の中に糸でネットを作り、糸が溶ける過程でもコラーゲン生成を促進することから、引き締め効果が期待できます。

ショッピングに行くように気軽に受けられることから「ショッピングリフト」と呼ばれるようになりました。短い糸を使うため「ショートスレッド」とも呼ばれます。

ショッピングリフトについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

糸リフトの概要

糸リフト（スレッドリフト）は、コグ（棘）のついた糸を、主にこめかみや耳の前からフェイスラインや顔の中心のしわ付近まで挿入し、糸を引き上げ固定することで、物理的にたるみを引き上げる治療です。

下垂した脂肪を移動し理想的な輪郭形成をすることで、結果的に頬全体を持ち上げ、ほうれい線、マリオネットライン、ブルドッグラインといった年齢による顔のシワに対する効果や小顔効果、たるみ改善効果、リフトアップ効果が期待できます。

ショッピングリフトと糸リフトの違い（一覧）

ショッピングリフトと糸リフトの違いを、まずは一覧表で示しました。

	ショッピングリフト	糸リフト
効果	・引き締め、ハリ感アップ ・肌質改善 ・たるみ改善	・リフトアップ ・しわ改善 ・たるみ改善 ・ハリ感アップ
持続期間	術後3～４カ月をピークに1～1.5年程度	直後をピークに半年～数年程度
施術方法	棘のない極細の短い糸を皮膚の浅い層に挿入する	棘の付いた糸を皮下に挿入、引っ張りながら棘で固定する
施術時間	30分～1時間程度	30分～1時間程度
糸の素材	PDO（吸収性）	PDO・PLA・PLLA・PCL（吸収性）、 ポリエステル・シリコン（非吸収性）
本数（目安）	１部位10本～ 例）両頬：40本程度 、2×2cmで10本程度、5×5㎝で20程度	左右で4～20本程度 例)両頬で30代なら6～8本、50代なら10～12本程度
適応部位	目元、口元、フェイスラインなど顔全体	主にフェイスライン
ダウンタイム	腫れ：数日程度 痛み：数日程度 内出血：2週間程度 メイク：翌日から可能	腫れ：数日～1週間程度 痛み・違和感：1～2週間程度 内出血：2週間程度 メイク：翌日から可能
傷跡	ほとんど目立たない	徐々に薄くなる
施術間隔	年に1～2回程度	半年に1回程度
料金	糸リフトより安め	ショッピングリフトより高め

これらの違いについて、以下にポイントを解説します。

ショッピングリフトと糸リフトのリフトアップ効果の違い

ショッピングリフトと糸リフトは、名前に「リフト」とついていることから、いずれもリフトアップ効果を連想するかもしれません。しかし、以下のような違いがあります。

リフトアップ効果を狙うなら、糸リフトがおすすめです。ただし、リフトアップ効果は比較的元に戻りやすい点に注意が必要です。

ショッピングリフトの主な効果は「引き締め（タイトニング）」です。引き締まることで細かなシワの改善や軽度のたるみの「自然なリフトアップ」につながります。物理的に引き上げる作用はありませんが、糸が吸収されても暫くは引き締め効果が続きます。

ショッピングリフトと糸リフトの効果の持続期間の違い

ショッピングリフトも糸リフトも、効果の持続期間は永久ではありません。加齢による変化は避けられないため、治療後も新たなたるみやシワが生まれます。

いずれも、糸の種類や形状に関わらず、ピークを過ぎてからは徐々に効果が失われていきます。

糸リフトのリフトアップ効果は比較的短期間で失われ、以降はショッピングリフトのように糸の刺激によるハリ感が残ります。ただし、糸の数が少ないため、ショッピングリフト程のハリ感は期待できません。

いずれも効果実感には個人差があります。また、効果を維持するには、推奨される「メンテナンス間隔」を守ることがポイントです。

ショッピングリフトと糸リフトの適応部位の違い

ショッピングリフトと糸リフトは、治療目的の違いから適応部位が異なります。

ショッピングリフトは引き締めや肌質改善を目的としているため、「目元・口元を含む顔全体」が適応となります。

一方、糸リフトは「顔の中央部」のたるみ・シワの改善を目的としているため、「フェイスライン・ほうれい線・マリオネットライン」が適応部位となります。

ショッピングリフトと糸リフトの挿入本数の違い

ショッピングスレッドリフトと糸リフトでは、使用する糸の本数が大きく異なります。

1本当たりが安くても本数が必要となるショッピングリフトと、1本当たりが高価でも本数が少なくなく済む糸リフト。しかし、それぞれ適応が異なるため、両者を価格で比較するのはナンセンスです。

症状や希望する仕上がりにより適切な治療を選択することで、効果を実感しやすくなるでしょう。

なお、糸リフトの糸は、たるみを引き上げる目的のため挿入方向や部位に制限があり、本数が多すぎると違和感や不自然な仕上がりになるリスクを伴います。ショッピングリフトの糸は、数が多くても不自然な仕上がりになるリスクはありません。

ショッピングリフトの本数について、詳しくは以下の記事もご参照下さい。

ショッピングリフトと糸リフトの痛み対策の違い

ショッピングリフトと糸リフトでは挿入の深さや痛みの程度が異なるため、適した痛み対策も異なります。

ショッピングリフトの施術時の痛みは「指先を爪でつままれる程度」と表現されます。本数が少なければ冷却のみで、麻酔なしでも施術できる程度です。

糸リフトは長く棘のある糸を皮下まで深く挿入します。表面麻酔では皮下まで効果が及ばないため、針の挿入口と挿入する穴へ薬剤を注入する必要があります。

麻酔は痛みに応じて使い分けるもの

表面麻酔や局所麻酔の他、不安を緩和する「笑気麻酔」、痛みをより緩和するために半分眠った状態になる「静脈麻酔」を選択するクリニックもあります。

しかし、麻酔は少なからず身体的・経済的な負担を伴うため、スマートスキンクリニックでは推奨しておりません。

ショッピングリフトと糸リフトに用いられる糸の違い

ショッピングリフトに比べ、糸リフトは素材も形状もバラエティに富んでいます。

ショッピングリフトに用いられる糸の素材は、手術でも使用されているPDO（ポリジオキサノン）という医療材料で、体内で溶けて吸収される性質があります。

糸は溶けていくにしたがって強度は弱くなりますが、タイトニング効果は吸収後も暫く続きます。

糸リフトに用いられる糸の素材は、PDOに加え、より硬く溶けるまでの時間が長いPCLやPLA、PLLAといった吸収性の糸のほか、ポリエステル、シリコンなどのバイオ素材からなる非吸収性の糸が用いられます。

なお、以下の論文では、糸リフトに用いられる形状の異なる6種類の糸を12週間にわたり比較した研究において、棘の形状により強度は異なるものの、いずれもコラーゲン増生効果を示したことが述べられています。

（和訳）6種類の市販の糸製品を収集し、評価した。一般的な構造、微細構造、弾性率、強度は、顕微鏡および試験管内での引張試験を用いて評価した。72匹の雌ラットを6群に分けた。組織サンプルを採取し、1週目、4週目、8週目、12週目にヘマトキシリン・エオジン染色とマッソン・トリクローム染色を用いて組織学的に評価した。

バーブの形状、微細構造、弾性および強度の点で製品間に違いがあり、それは材料およびバーブ構造に起因すると考えられた。すべての糸は良好な生物学的安全性を示し、真皮のコラーゲン領域の密度は対照群と比較して増加した。

本研究は、有刺糸製品の客観的評価を提供し、すべての製品が異なる適応症において一定の効果を示しながら安全に使用できることを示した。

Lideng Cao, He Qiu, Donglei Yu, Liu Shuo, Hang Wang. Comparison of different thread products for facial rejuvenation: Materials and barb designs.. Journal of cosmetic dermatology. 2023 Jul;22(7);1988-1994. doi: 10.1111/jocd.15691

ショッピングリフトと糸リフトのダウンタイムの違い

ショッピングリフト・糸リフトのいずれのダウンタイム症状も、腫れ・痛み・違和感・傷跡・内出血などの症状があらわれる可能性があります。メスを使用しないため、症状は軽めです。

いずれにしても、大事な予定がある場合はダウンタイム症状も考慮し、治療スケジュールを調整しましょう。

注意が必要な症状は、感染時にみられる痛み・腫れ・赤みの増強です。通常、ダウンタイム症状は徐々に緩和しますが、強くなるようならば直ちにクリニックにご相談ください。

ショッピングリフトと糸リフトの日常生活への影響の違い

いずれの施術も術後の傷は目立ちませんが、皮膚の中にも傷があるため、多少の行動制限があります。家事やデスクワークであれば回復への影響はありません。

ショッピングリフトと糸リフトのリスクの違い

どのような治療も、リスクはゼロではありません。

感染は、ある程度は清潔操作、抗生物質の内服、針穴のテープ保護を行うことで予防できます。しかし、糸リフトでは非吸収性の糸を使うこともあるため、長期的に感染のリスクが高まります。

また、糸リフトは挿入の深さや方向を誤ると、効果がないばかりか皮膚表面のひきつれや凸凹、耳下腺損傷を起こすリスクもあります。

アレルギーは全くないとは言えませんが、ある程度は問診で防ぐことができます。

ショッピングリフトと糸リフトのメリットとデメリット・おすすめの人の違い

デメリットとメリットを比較し、メリットが上回ると納得できてから治療に臨みましょう。

参考までに、それぞれの治療がおすすめの人を挙げています。

	共通	ショッピングリフト	糸リフト
メリット	・ダウンタイムが短い ・肌質改善効果が得られる	・施術可能部位が多い ・引き締め、ハリ感アップ ・自然な仕上がり ・細かいデザインが可能 ・傷跡が残らない	・気になるポイントを引き上げることができる ・直後から効果を実感しやすい ・傷跡が目立たない
デメリット	・効果は永久ではない ・強いたるみやしわには効果が実感できないことがある ・腫れや内出血が起こることがある	・即効性がない ・高いリフトアップ効果はない	・歯科治療のように口を大きく開けられるのは2ヵ月後から ・凸凹やひきつれ、耳下腺損傷のリスクがある
おすすめの人	・メスを入れたくない ・たるみが気になる ・小顔になりたい	・肌のハリをアップしたい ・美肌になりたい ・自然な仕上がりが欲しい	・リフトアップしたい ・すぐに効果を実感したい ・中顔面が気になる

よくある質問

ショッピングリフトと糸リフト、どちらが効果がある？

それぞれ適応や効果が異なります。 ショッピングリフトはタイトニング効果、糸リフトはリフトアップ効果が期待できます。

ショッピングリフトと糸リフトは、どちらが痛い？

どちらも麻酔を使用するため、痛みは殆ど感じずに治療を受けられます。

ショッピングリフトはスマートスキンクリニックへ

スマートスキンクリニックは、安全性が高くダウンタイムの軽めな「ショッピングリフト」を取り扱っています。ショッピングリフトの施術内容や料金は以下の記事をご覧ください。

患者様のお悩みやご希望に合わせて適応を見極め、顔全体のバランスを見ながら、お悩みに合わせて針・糸の挿入角度や向きをアレンジし、効果を最大限に実感できるよう努めています。

治療提案は可能ですが、無理な追加販売はいたしませんので、ご安心ください。

カウンセリングは無料です。お気軽にお問い合わせください。

参考

Lideng Cao, He Qiu, Donglei Yu, Liu Shuo, Hang Wang. Comparison of different thread products for facial rejuvenation: Materials and barb designs.. Journal of cosmetic dermatology. 2023 Jul;22(7);1988-1994. doi: 10.1111/jocd.15691