イソトレチノイン(アキュテイン)|美容皮膚科スマートスキンクリニック【東京】

イソトレチノインアイキャッチ

イソトレチノインとは

イソトレチノインとは端的に言えば、ニキビの内服治療薬です。分類としては、ビタミンA誘導体と呼ばれる薬になります。

また「ニキビ治療の最終兵器」と呼ばれることもあるお薬です。

どのように効果を発揮するのかについて簡単に言えば、皮脂腺を萎縮させる作用を持っており、それによりニキビの治療効果が得られます。

イソトレチノインは成分名であり、商品名としてはアキュテイン、イソトロイン、ロアキュタン、トレティヴァと複数の薬があります。

日本では保険適用はまだされていませんが、海外においては長年使用されてきた薬になります。具体的には、欧米では35年ほど前から、アメリカでは1982年に承認されています。

中等度~重度のニキビに対してアメリカやヨーロッパの「ニキビ治療ガイドライン」では高いレベルでイソトレチノインの内服治療が推奨されています。イソトレチノインはリスク・副作用も存在しますので、医師の診察の元処方することが必須となっています。

実際の欧米の「ニキビ治療ガイドライン」の一部が以下になります。英語で分かりにくいかもしれませんが、「Severe(重症)」ニキビに対して、「High strength of recommendation(強く推奨する)」治療として「Isotretinoin(イソトレチノイン)」という記載があります。

欧米の「ニキビ治療ガイドライン」

(出所)Nast A et al:European evidence-based (S3) guideline for the treatment of acne – update 2016 – short version. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2016, 30, 1261–1268

効果とその機序

効果

・ニキビの改善

・ニキビを繰り返さなくて済むことが多い(長期的寛解)

・重症のニキビに対しても効果が期待できる

・肌質の変化(毛穴が目立ちにくくなる場合がある、肌ツヤが上がる場合がある)

実際の診療経験として、保険診療の治療(内服、外用薬)を2~3年程続けていたが良くならなかった患者様が、イソトロイン内服し始めて3ヵ月程度で改善を認めた事例もございました。

効果の3つの機序

機序①:皮膚油分の減少

イソトレチノインは皮脂腺の機能を調節し、皮膚の油分分泌を減少させます。これにより、にきびの原因となる皮脂の過剰分泌を抑制し、炎症や毛穴の詰まりを軽減します。

またイソトレチノインは、皮脂腺における脂質合成酵素の活性を抑制します。具体的には、5α還元酵素の阻害や皮脂腺のサイズを減少させることによって、皮脂の分泌を減少させます。

皮脂の分泌が減ることで、副次的に毛穴が目立ちにくくなる場合があります。

機序②:炎症の抑制

イソトレチノインは、炎症性にきびの症状を改善する効果もあります。炎症を引き起こす因子に対して抗炎症作用を発揮し、赤みや腫れなどの症状を緩和します。

炎症反応に関与するさまざまなメカニズムを調節することで、炎症を抑制します。具体的には、炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、IL-8など)の産生を減少させ、炎症反応を緩和します。また、T細胞の活性化や好中球の移動も抑制し、炎症を抑えます。

機序③:ターンオーバーの改善

イソトレチノインは、毛穴の詰まりを減少させる効果があります。これにより、粉瘤(ふんりゅう)や黒ずみといった毛穴関連の問題も改善します。

また、遺伝子発現を調節することで、表皮細胞の分化やアポトーシス(細胞死)を改善します。これにより、皮膚のターンオーバーが正常化され、毛穴の詰まりが軽減されます。

角化異常を改善する作用もあります。正常な角質形成を促進し、角質層の過剰な角化を抑制することで、毛穴の詰まりや炎症を軽減します。

ターンオーバーを改善しますので、副次的に肌ツヤが上がる場合があります。

投与量・内服期間

イソトレチノインの投与量と内服期間は、患者様の症状の重症度等に基づいて個別に決定されます。ガイドラインなどで、一定決まった基準がありますが、必ずしもその通りに実施するとは限りません。

国際的には0.5mg/kg-1.0mg/kgを15−20週内服する方法がスタンダードです。

ただこちらはあくまで、世界で見た場合の基準ですので、日本人の特徴に合わせていく方が良いでしょう。

例えば、日本人においては海外と比較し重症ニキビの方は少ないので、少なめの量で治療を開始しても良いと考えられます。日本人の場合、0.3mg/kg程度からスタートする場合も多いです。

以下に一般的なケースをまとめます。

投与量:

・一般的に、イソトレチノインの一日の推奨投与量は、体重1キログラムあたり0.5〜1ミリグラムです。

・重症のにきびの場合、一日の総投与量は0.5〜2ミリグラムに増やされることがあります。

・投与量は通常、体重に基づいて調整されます。

内服期間:

・イソトレチノインの治療期間は、一般的に16週間(約4ヶ月)から24週間(約6ヶ月)です。

・一部の患者では、治療期間が延長されることもあります。

・治療の経過や患者の状態によって、投与期間は個別に決定されます。

治療経過の一例

1ヶ月目:

皮膚、目、鼻、特に唇に副作用を経験する可能性があります。これはイソトレチノインの機序として皮脂腺を縮小し、皮膚の油分を減少させるため起こります。

また一部の患者様は、初めてイソトレチノインを使用すると一時的にニキビが悪化する場合があります。これは「初期フレア」または「パージング」(清掃)期間とも呼ばれ、薬が皮膚の深部にある不純物を排出する際に生じると言われています。

2ヶ月目:

ほとんどのケースでは、この時点でニキビの改善を認めることが多いです。一方で、皮膚の乾燥や他の副作用は続くか、場合によっては悪化するかもしれません。医師は通常、この段階で患者様の反応を評価し、必要に応じて投薬量を調整します。

3-4ヶ月目:

患者様の大半がこの時点で改善を示すことが多いです。ニキビの新たな発生はほとんどなくなり、既存のニキビも治癒します。副作用が生じる方もいますが、多くの患者様はそれらを管理する方法を学んでいたりします。(例:リップクリームを塗る等)

5-6ヶ月目:

大半の患者様が治療を完了します。皮膚は綺麗になり、新たなニキビの発生もほとんどありません。副作用は、薬物の使用を中止した後しばらく続くことがありますが、通常は時間とともに解消します。

※全ての患者様がこの通りの経過で改善を見せるわけではないことは留意してください。

辞めた後どうなるか?再発率は?

イソトレチノインを辞めた後の経過

終了後の最初の数週間:

治療を終了しても、皮膚の乾燥や他の副作用が続くことがあります。しかし、これらの副作用は徐々に軽減していきます。

終了後の数ヶ月:

多くの場合、ニキビは完全にクリアになり、新たなニキビの発生も抑制されます。皮膚の副作用はほぼ完全に解消されます。

終了後の6ヶ月以上:

 一部の患者では、治療の終了後に再びニキビが発生することがあります。これは通常、以前ほど重度ではなく、再度のイソトレチノインの治療または他の方法で制御可能なケースがほとんどです。

再発率

明確な再発率のデータはありませんが、ほとんど再発しないと言っても良いでしょう。一部の方で、再発がありますが、以前ほど重度にならないケースが大半です。

なぜ国内では未承認・保険適用外なのか?

アメリカなど諸外国では30年以上前から保険適用の内服薬でしたが、日本では保険適用外です。

理由としては、副作用とリスク管理の難しさが関与しています。

その一つの例として、出生前の影響が挙げられます。

イソトレチノインは使用中または使用後の短期間内に妊娠した場合、胎児に重大な奇形や発達障害を引き起こす可能性があります。そのため、使用する女性は厳格に妊娠防止を実施することが必要です。このような管理と監視は困難で、そのために一部の国では使用が承認されていないと考えられています。

ここで、イソトレチノインの使用に関しての国内の医師の意見も見ていきましょう。

論文の図表①

集簇性痤瘡とは

男性に好発し,顔面のみならず胸背部 に,多数の面皰と嚢腫・結節の多発をみる難治性 の痤瘡ないし膿皮症の一型のこと

論文の図表②
論文の図表③

(出所)林 伸和, 佐々木 優, 黒川 一郎等, 本邦での集簇性痤瘡,重症痤瘡患者の頻度および経口イソトレチノインに対する皮膚科医の意識調査, 日本臨床皮膚科医会雑誌. 2021 年 38 巻 4 号 p. 629-634

まとめると、難治性ニキビに対するイソトレチノイン治療の必要性を感じている医師が多いと言えそうですね。

治療ができない方

・妊娠中

・授乳中

・妊娠を考えている方

理由)先述の通り、使用中または使用後の短期間内に妊娠した場合、胎児に重大な奇形や発達障害を引き起こす可能性があるからです。

・小児
12歳以下であれば基本的に使用できません。13-17歳も基本的には避けます。骨の発達障害の可能性がゼロではない為になります

リスク・副作用

重大な副作用

(1) 胎児の奇形、流産、死産、早産

(2)鬱、精神病(幻覚、幻聴)、自傷行為、自殺企図などの重大な精神疾患

起こりやすい副作用

(3)皮膚と粘膜の乾燥

イソトレチノインは皮脂腺を縮小し、皮膚と粘膜の油分を減少させます。これにより、口唇の乾燥、鼻の乾燥、眼の乾燥、皮膚の過度の乾燥などが引き起こされます。

その他の副作用

(4)肝機能の変化

イソトレチノインは肝臓に負荷をかけ、一部の患者では肝機能の異常を引き起こす可能性があります。そのため、治療中は定期的に肝機能の検査が必要です。

(5)脂質値の変動

イソトレチノインは血中のコレステロールとトリグリセリドのレベルを上昇させる可能性があります。これは特に心血管疾患のリスクを持つ患者にとって重要です。

(6)関節痛と筋肉痛

一部の患者は関節痛や筋肉痛を経験します。これは通常、治療の中断または終了後に改善します。

(7) 頭痛、めまい、視覚障害

イソトレチノイン使用者の一部は、頭痛、めまい、または視覚障害を経験することが報告されています。特に視力の変化、夜間視力の低下などは、運転など日常生活に影響を及ぼす可能性があります。

(8)光過敏症

イソトレチノイン使用者は日光に敏感になる可能性があります。そのため、日焼けを避けるための適切な予防策が必要です。

(9) アレルギー反応

イソトレチノインはまれにアレルギー反応を引き起こす可能性があります。これには皮膚発疹、じんましん、重度のかゆみ、息苦しさ、不規則な心拍、腫れ(特に顔や喉の腫れ)などの症状が含まれます。

(10)骨密度の変化

長期間高用量のイソトレチノインを使用すると、骨密度の変化や骨成長の停止が引き起こされる可能性があります。

注意事項

・服用期間中とその前後1ヶ月間に性行為をする場合は、必ず避妊を行ってください。

・服用期間中とその後1ヶ月間は妊娠、授乳、献血をしないでください。

※妊娠女性への輸血により、胎児にイソトレチノインの影響が生じるおそれがあります。

・イソトレチノインの治療期間中、治療後6ヶ月はピーリングやワックス脱毛はお控えください。

・治療中、侵襲の強いレーザー治療はできません。

・イソトレチノインを、他の人と共用しないでください。

・治療開始後に一時的にニキビが悪化する場合があります。

厚生労働省の注意喚起

イソトレチノインは、医師や薬剤師などの専門家による緊密な指導の下でのみ使用される必要がある。

妊娠又は妊娠している可能性がある場合、胎児に先天異常、流産、早産、死産を引き起こすおそれがある。

ひどい頭痛や、目のかすみ、めまい、吐き気、おう吐、脳卒中、下痢、筋力低下などのほか、 重大な精神症状

(うつ、自殺など)の副作用を生じることがある。

・専門家による診察を受けずに、決して購入すべきではありません。

・妊娠している、妊娠する予定である又は妊娠する可能性のある場合は、決して服用してはいけません。

・処方せんなしで販売するウエブサイトがあるが、これは違法であり危険である。

(出所)アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について(厚生労働省)

治療の流れ

STEP
Web予約

当院は完全予約制となっております。こちらからWeb予約の上、ご来院ください。

STEP
カウンセリング・医師診察

現在のお悩みや、過去にニキビ治療経験等をお伺いします。お肌の状態を確認し、イソトレチノイン治療の適応があり、治療をご希望される場合、リスク等をご説明の上同意書にサインをいただきます。その後血液検査と、治療前の状態を記録する為写真撮影を実施致します。

STEP
血液検査

肝機能など問題がないか確認致します。

STEP
処方

まずは、30日分を処方させていただきます。

STEP
再診

1カ月後を目途に、治療効果、副作用等を確認致します。

料金

イソトレチノイン 20mg(30日分)


16,500円(税込)


16,500円(税込)


血液検査(1回)


3,500円(税込)


3,500円(税込)


※当院は自由診療であり保険は適用されません

よくある質問

副作用が心配で、イソトレチノインを怖いと思っているのですが、大丈夫でしょうか?

色々と調べていると、副作用は心配になってしまいますよね。副作用はたくさん記載があるので、必ずどれか起きるのではないかと思ってしまうかもしれませんが、確率がゼロでないものは記載する必要があるので記載されているので、全てを不安に思う必要はないかと思います。

大切なことは、効果と副作用・リスクをしっかりと検討することです。効果とは、もしイソトレチノインを使うことでニキビが改善されるとすれば、それはあなたの生活の質に大きな影響を与える可能性があります。

イソトレチノインの副作用は様々ありますが、特に重大なもの催奇形性です。注意事項に記載したように、「服用期間中とその前後1ヶ月間に性行為をする場合は、必ず避妊を行ってください。」というリスク管理を徹底することで副作用・リスクは下げ得るものです。

また、定期的に医師の診察がありますので、副作用が出たら一緒に相談して対応していきましょう。

いつから効果が出る?

個人差がありますが、2カ月程度で効果を実感されるケースが多いです。

効果は内服終了後も持続する?

持続します。ですが、一部の皮脂腺は元の状態に戻ってしまうことがありますので、全ての方が再発を防げるわけではないことに注意してください。服用中止後に再発してしまう場合でも、内服前よりも症状は軽くなることは大半です。

ニキビが再発した場合はどうすれば良い?

基本的には再発時は、以前よりも軽度の場合がほとんどです。治療としては、トピカル(局所)療法(塗り薬)、または抗生物質内服など、イソトレチノイン治療を開始する前に用いていた治療法を実施することが多いです。

内服中に他の美容施術は受けて良い?脱毛とかも良いですか?

基本的に問題ありません。一方で、脱毛はイソトレチノインの服用中止後に行うことを推奨しています。最近の研究でイソトレチノイン服用中でもレーザー脱毛を受けても問題ないことがわかってきましたが、医療脱毛は出力が高く、リスクがあるためです。

飲み忘れた時はどうしたらいいですか?

当日中であれば、次の食後に内服してください。1日内服を忘れた場合はスキップし、翌日から1日1錠内服を再開してください。翌日に2錠内服しないようにご注意ください。

顔以外の背中ニキビなどにも効果はありますか?

あります。全身に作用します。

参考

アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について(厚生労働省)

林 伸和, 佐々木 優, 黒川 一郎等, 本邦での集簇性痤瘡,重症痤瘡患者の頻度および経口イソトレチノインに対する皮膚科医の意識調査, 日本臨床皮膚科医会雑誌. 2021 年 38 巻 4 号 p. 629-634

Nast A et al:European evidence-based (S3) guideline for the treatment of acne – update 2016 – short version. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2016, 30, 1261–1268

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「美容医療をもっと身近に、スマートに。」がコンセプトのクリニック。

華美な内装をなくし内装費を削減したり、闇雲に機器を導入するのではなく、必要な機器を厳選し、機器にかかるコストも削減。

「多くの人にとって美容医療をもっと身近に」を目指しています。

クリニック受付

住所:東京都千代田区神田錦町3-16-1 EX神田錦町ビル 8階
診療科目:美容皮膚科(美容皮膚科・医療脱毛・医療痩身)

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当サイトはスマートスキンクリニック監修医師の監修の元運営を行っております。

このページは、2018年6月に改正・施行された「医療広告ガイドライン」に基づき医療機関としてウェブサイトを運営し、また当院の監修医師による監修のもと制作しております。

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